The previous night of the world revolution~T.D.~
クランチェスカ家のカレーを食べながら。

僕は、ふと思い出した。

「そうだ、セカイさん」

「んー、何〜?」

「僕明日から、大学生になることにしたんですよ」

「ぶふーっ!?」

「おっと」

セカイさんが噴き出した麦茶を、ランチョンマットでガード。

「どうしたんですか。麦茶不味かったんですか?」

「げほっ…えほっ、げほっ」

噎せてらっしゃる。麦茶で。

「よしよし、全く罪深い麦茶ですね。セカイさんを陸上で溺れさせるとは…」

「げほっ…つ、つみ、罪深いのはルーチェス君だよ!」

「え?」

噎せているセカイさんの背中をさすっていると。

いきなり、びっくりすることを言われた。

「僕、何が悪いことしました?」

「大学生って!?何で!?マフィアやってたんじゃなかったの?あれはやめたの?」

まさか。

「マフィアはやってますよ。マフィアやりながら、大学生スパイをやります」

「それ、どういう状況!?」

どういう状況と言われても…。

一応極秘任務なので、民間人であるセカイさんに、詳しい説明は出来ない。

ので、簡単に説明するとしたら…。

「…まぁそういう仕事が来たってことで」

「な、何それ…?マフィアって、大学生の振りしてスパイまでやるの…?」

そうみたいです。

「まさか、人生で王子、マフィア、大学生までやれるとは。凄いですね僕の人生。もう魔導師とかでもやれるんじゃないですか?」

なーんちゃって。ふふふ。

「はぁ…。もう、最初に会ったときからそうだけど、ルーチェス君には驚かされっぱなしだよ…」

「済みません、そんなつもりはなかったんですが。嫌いにならないでください」

「そんなことじゃ嫌いにならないよ…。もうね、ルーチェス君が、『実は僕不死身なんですよ』とか言い出しても、私びっくりしないと思う」

成程、それは良いかも。

いや待て。不死身ってなんか辛そうだから、遠慮したい。

「そういうお仕事なのね?」

「そういうお仕事なんです」

「そっか…。スパイかぁ…。ドラマみたいだね。気をつけてね?」

「はい。気をつけます」

「うちから通うんだよね?何処の大学なの?…って、聞いちゃって良いのかな」

それくらいは言っても良いんじゃないか?

うちから通える範囲の大学なんて、限られてるし。

「私立ローゼリア学園大学です。聞いたことあります?」

「うわー!お金持ちと頭良い人の行く大学だー!」

そういう印象なんだって。姉さん。

「ルーチェス君、頭良いもんねー…」

「…」

「きっと、頭良い女の子達もいっぱいいるんだろうねー。あそこ、確か女子大も附属してなかった?」 

「してますね」

「ふーん…。じゃあルーチェス君は、頭の良い花の女子大生達と、毎日一緒に授業受けることになるんだ…。ふーん…」

…。

…これは、まさか。

あれか?あれなのか?
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