The previous night of the world revolution~T.D.~
「まず報告を。多分あなたもご存知でしょうが、シュノさんと、俺の愛弟子が『帝国の光』に入党しました」

俺は、相変わらず荷解きを続けながら、一人で喋り続けた。

「彼らは無事、『表党』に入党したそうです。何よりですね」

あと、伝えることと言ったら…。

「帝国騎士団からの了解も得られたので、あとは『青薔薇連合会』で処理します。事が事ですからね」

スパイとしての機密事項を、べらべらと。

喋り続ける。

「…あ、そうだ。ちょっと前の話ですが、あなたが地下で見たというあの武器、やっぱり『オプスキュリテ』は関与してないそうです。ジュリスさんのことだから、ないと思ってましたが」

さて、伝えることは以上かな。

これ以上は、ルリシヤも負担だろうし。

…ところで。

お前、スパイだってこと忘れたのか。『青薔薇連合会』だの帝国騎士団だの、言ってはならないことを堂々と。

この「監視部屋」で、血迷ったか。と思われたかもしれないが。

実は、この部屋は、監視などされていない。

…いや、その言い方は語弊があるか。

監視は、確かにされている。

今も、そこに分かりやすく置いてある監視カメラが、俺を睨んでいる。

だが、俺にとってそんなカメラは、ただの置物に過ぎない。

何故なら。

この部屋にある、全てのカメラと盗聴器は、ルリシヤのお手製だからだ。
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