The previous night of the world revolution~T.D.~
俺とエリアスは、それぞれ別々の部屋をあてがわれた。

「丁度、同時にこの二部屋が空いたんだよ」と、白々しく言われたが。

俺があてがわれたのは、かつてルリシヤがいた、205号室。

ちゃんと「監視部屋」じゃないか。

エリアスとは別室だが、奴の部屋も間違いなく、「監視部屋」だろうな。

まぁ、俺と違ってエリアスは、隠すようなことは何もないだろうが。

「監視部屋」に入り、部屋の中をぐるりと見渡す。

古ぼけてはいるが、家具は一揃い揃っている。

…ちっ。

潜伏先のマンションと違って、ゴシック仕様じゃないのがムカつくな。

…だが。

「…ふふ」

忘れるなかれ。

この部屋は、以前ルリシヤが住んでいた部屋。

そして、今やルリシヤは、俺を監視する側の人間なのだ。

故に。

俺は、ベッドマットの隙間に潜ませてあった、メッセージカードを手に取った。

ルリシヤからのメッセージだ。

そこには、予定通り。

このがんじがらめの「監視部屋」で、唯一無二の味方である俺とルリシヤが、意思疎通する手段が書かれていた。

残念だったな、ヒイラ・ディートハット。

お前は、最も敵に回してはいけない人物を、先にこの部屋に住まわせてしまった。

こればかりは、俺もルリシヤを見習わなくてはな。

…そんな訳で。

「細工、感謝しますよルリシヤ」

俺は、マンションから持ってきた荷物を解きながら、独り言のように呟いた。
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