The previous night of the world revolution~T.D.~
「やぁ!君達か、昨日『裏党』に入ってきた、優秀な革命闘士の二人は」

…噂には聞いていたが。

ついでに、講演会で、遠目から姿を見てはいたし。

散々配らされたビラにも、顔写真が印刷されていたが。

実際にこいつの顔を見ると、やはり違うな。

…業の深い顔をしてるよ。

見てたら分かる。

俺達みたいに、暗いところで生きてきた人間には。

「初めまして。俺が『帝国の光』の党首、ヒイラ・ディートハットだ」

「…は、初めまして…。俺はエリアスと言います。宜しくお願いしますっ…」
 
緊張気味に挨拶するエリアス。

彼にとっては、雲の上の人に会えたような気分なんだろうな。

馬鹿馬鹿しい。

こんな奴、雲の上どころか。

豚小屋でぶーぶー鳴いてる、豚と同じだ。

「お、お会い出来て光栄です…!」

相変わらず、緊張気味に言うエリアスである。

すると、ヒイラ・ディートハットは。

「はは、そんなに緊張しないでくれ。『裏党』の党員は、皆平等だ。俺も君も、立場は一緒。敬語なんかやめて、気さくに話してくれて良いんだぞ?」

「えっ、あ、はいっ…あっ」

敬語なんてやめて良い、と言われても。

つい先週辺りまで、天上人だった人物相手に、気さくにタメ語は難しい。

「す、済みません」

「まぁまぁ、今すぐにとは言わないから。慣れてからで良いよ」

「ありがとうございます…!」

エリアスは、ヒイラの寛大な態度に、酷く感銘を受けたようだが。

…俺は、そうは行かないぞ。
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