The previous night of the world revolution~T.D.~
「げほっ…げほっ…がはっ…」

「大丈夫ですかルルシー」

俺は、ルルシーの背中をさすってあげた。

あ、これってもしかして、チャンスなのでは? 

「介抱している振りして、あんなところやこんなところをお触りし放題、」

「やめろ」

振り払われた。酷い。

今良いところだったのに。

「はぁ…。はぁ、死ぬかと思った…」

ルルシーは、紅茶のペットボトルの蓋を閉めた。

「無事で何よりですよ」

「そんなことはどうでも良いんだよ!」

何で?

「お前、今何て言った!?」

「え?無事で何よりですって…」

「そこじゃねぇ!お前、何学部受けるって!?」

あ、大学の話?

願書ちょっと濡れちゃったから、書き直しだけど。

「子ども教育学部です」

「血迷ったか!?」

何で?

「子ども教育…って、あれだろ?幼稚園とか、小学校の先生になる人が行く学部だろ!?」

「そうですね」

「やっぱり血迷ったんだな!?」

だから、何で?

「俺は正気ですけど…」

「お前が幼稚園の先生…!?ルティス帝国の歩くエロスが?『青薔薇連合会』の死神が?最早存在そのものが、およそ子供の教育に悪いお前が?」

俺、凄い酷い言われようなんだけど。

「失礼な〜。俺は人生経験豊富ですからね。子供達の教育も、立派に出来ますよ」

「子供に教育される、の間違いだろ?」

ルルシーは、俺を何だと思ってるんですか?

さっきから、失礼過ぎるでしょ。

「お前が幼稚園の先生なんかになったら…ルティス帝国の未来は終わりだよ…」

凄まじい言われようなんですけど?

面白そうだから、むしろやってみようかなという気にもなってくる。

しかし。

「あのですね、ルルシー。俺、別に先生になる為に大学行く訳じゃないですから。あくまで大学生活は名目。本分はスパイです」

「あ、あぁ、そうか…。そうだったな。良かった。ルティス帝国の未来は救われた…」

何言ってるんですか?

「いや、でも実習授業とかあるんじゃないのか…?大丈夫なのか…?」

「大丈夫大丈夫!俺、バッチリ学校の先生になる…為の勉強をしますから!」

「…不安しかねぇ…」

俺が、こんなに自信満々に言ってるのに。

ルルシーったら、本当心配性なんだから。

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