The previous night of the world revolution~T.D.~
「これを量産し、国内にばら撒けば、俺達の革命は成功する」
だろうね。
期待を込めたヒイラの笑顔を、横っ面ぶん殴ってやりたい衝動に駆られながら。
俺は、必死に自制していた。
「なら…どうして、今すぐ実行しないんですか?もう何基か完成してるんですか?」
「いや、残念ながら、この技術はまだ未完成なんだ」
へぇ。
良かったな、縦ロール。命拾いしたぞ。
お前の差し金で、ルティス帝国に『白亜の塔』を持ち込ませたのだとしたら。
今すぐ俺は、お前を殺しに行かなきゃならないところだった。
とはいえ、あの縦ロールに全く責任がない訳ではない。
門外不出のはずの技術を、こうして国外に持ち出させているのだから。
それを防げなかったのは、あの女の怠慢だ。
もう一回、縦ロール引き千切ってやろうか。
今も縦ロールなのかは知らないが。
「そこで、俺は『帝国の光』内部でも特に優秀な人物を、極秘にここに集めて、この装置を完成させる為の研究を行うことにした。ここにいる…同志ルニキスもその一人だ」
ルリシヤのことな。
「同志ルナニア、君を呼んだのも同志ルニキスなんだ。ルティス帝国総合大学で優秀な成績をあげていて、しかも『帝国の光』への貢献度も高い、革命精神のある人物として、彼が君を推薦したんだ」
「…そうだったんですか…」
知ってたけどな。
「同志ルナニアには、ここにいる同志ルニキスと、この装置の研究資料を持ってきた、シェルドニア人の博士を筆頭に、二人を支えながら、研究に従事して欲しい。それが、君の役目だ」
シェルドニア人の博士…だと?
そいつか。『白亜の塔』を、ルティス帝国に持ち込みやがったのは。
「そして、この研究は『帝国の光』内でも最重要気密だ。君は推薦されたからここにいるけれど、本来なら、入党したばかりの党員を、ここに入れることはない」
それも知ってる。
ルリシヤだって、この隠し地下室に入れてもらえるまで、長い時間を要したのだから。
知っていれば、こんな悠長にはしていなかったよ。
『帝国の光』が今より勢力を増す前に、力ずくででも潰していたはずだ。
「だから、誰にも、決して喋らないでくれ。ここで見聞きしたことは、決して地上で話してはいけない。これだけは約束して欲しい」
ごめん。
既に、帝国騎士団にもバラしてるわ。
「君の働きに期待している。宜しく頼むよ、同志ルナニア。ルティス帝国の未来の為に」
「…分かりました。必ず成功させてみせます」
「あぁ!」
ヒイラは、満面の笑みで俺の手を握った。
触んな、気色悪い。
「…おっと、そうだ。肝心なことを教えてなかったな」
「…肝心なこと?」
「この装置の名前だよ」
あ?
『白亜の塔』だろうが。何処からどう見ても。
しかし。
ヒイラは、この小さな塔に、独自の名前をつけたそうで。
「『光の灯台』。それが、これの名前だ」
ダッサ。
『白亜の塔』も対外だけど、お前のネーミングセンス糞だな。
「この装置が完成して、ルティス帝国の未来を、明るく照らしてくれることを願ってつけたんだ」
名付けの由来なんて知らねぇよ。
ただ「白くて塔みたいだから」という理由だけで、『白亜の塔』と安直に名付けられた本家の方が、まだ安定感がある。
「『光の灯台』の完成…楽しみに待ってるよ」
そう言い残して。
ヒイラはルリシヤに俺を任せ、地下室を出ていった。
だろうね。
期待を込めたヒイラの笑顔を、横っ面ぶん殴ってやりたい衝動に駆られながら。
俺は、必死に自制していた。
「なら…どうして、今すぐ実行しないんですか?もう何基か完成してるんですか?」
「いや、残念ながら、この技術はまだ未完成なんだ」
へぇ。
良かったな、縦ロール。命拾いしたぞ。
お前の差し金で、ルティス帝国に『白亜の塔』を持ち込ませたのだとしたら。
今すぐ俺は、お前を殺しに行かなきゃならないところだった。
とはいえ、あの縦ロールに全く責任がない訳ではない。
門外不出のはずの技術を、こうして国外に持ち出させているのだから。
それを防げなかったのは、あの女の怠慢だ。
もう一回、縦ロール引き千切ってやろうか。
今も縦ロールなのかは知らないが。
「そこで、俺は『帝国の光』内部でも特に優秀な人物を、極秘にここに集めて、この装置を完成させる為の研究を行うことにした。ここにいる…同志ルニキスもその一人だ」
ルリシヤのことな。
「同志ルナニア、君を呼んだのも同志ルニキスなんだ。ルティス帝国総合大学で優秀な成績をあげていて、しかも『帝国の光』への貢献度も高い、革命精神のある人物として、彼が君を推薦したんだ」
「…そうだったんですか…」
知ってたけどな。
「同志ルナニアには、ここにいる同志ルニキスと、この装置の研究資料を持ってきた、シェルドニア人の博士を筆頭に、二人を支えながら、研究に従事して欲しい。それが、君の役目だ」
シェルドニア人の博士…だと?
そいつか。『白亜の塔』を、ルティス帝国に持ち込みやがったのは。
「そして、この研究は『帝国の光』内でも最重要気密だ。君は推薦されたからここにいるけれど、本来なら、入党したばかりの党員を、ここに入れることはない」
それも知ってる。
ルリシヤだって、この隠し地下室に入れてもらえるまで、長い時間を要したのだから。
知っていれば、こんな悠長にはしていなかったよ。
『帝国の光』が今より勢力を増す前に、力ずくででも潰していたはずだ。
「だから、誰にも、決して喋らないでくれ。ここで見聞きしたことは、決して地上で話してはいけない。これだけは約束して欲しい」
ごめん。
既に、帝国騎士団にもバラしてるわ。
「君の働きに期待している。宜しく頼むよ、同志ルナニア。ルティス帝国の未来の為に」
「…分かりました。必ず成功させてみせます」
「あぁ!」
ヒイラは、満面の笑みで俺の手を握った。
触んな、気色悪い。
「…おっと、そうだ。肝心なことを教えてなかったな」
「…肝心なこと?」
「この装置の名前だよ」
あ?
『白亜の塔』だろうが。何処からどう見ても。
しかし。
ヒイラは、この小さな塔に、独自の名前をつけたそうで。
「『光の灯台』。それが、これの名前だ」
ダッサ。
『白亜の塔』も対外だけど、お前のネーミングセンス糞だな。
「この装置が完成して、ルティス帝国の未来を、明るく照らしてくれることを願ってつけたんだ」
名付けの由来なんて知らねぇよ。
ただ「白くて塔みたいだから」という理由だけで、『白亜の塔』と安直に名付けられた本家の方が、まだ安定感がある。
「『光の灯台』の完成…楽しみに待ってるよ」
そう言い残して。
ヒイラはルリシヤに俺を任せ、地下室を出ていった。