The previous night of the world revolution~T.D.~
『帝国の光』は基本的に、若者揃いの組織だが。

開発チームも例外ではなく、揃っているのはひよっこも良いところの、ガキンチョ集団。

しかも。

揃っているメンバーは、ルリシヤが各地の大学の学生や、大卒のメンバーを集めたとのことだが。

その大学だって、特に名のある大学でもなし。

中には、まぁまぁの大学の出のメンバーもいたが。

よくよく聞いてみると、学部は経済学部でした、とか。

残念ながら、『光の灯台』の開発に、経済学部の知識は必要ない。

研究職なのに、ゴリゴリ文系じゃん。

いや、それを言うなら俺もなんだけど。

一応、理系学部に在学中のメンバーもいたが。

大学名を聞いてみれば、地方にある、大したことのない大学。

しかもまだ在学中なので、専門的な知識を完全に身に着けているとは言い難い。

更に、設計の方面で必要だと判断したのか、現在製造業で、組み立ての仕事をして働いているという、若い青年もいた。

が、これまたよくよく聞いてみると。

製造業とは言っても、小さな工房の、しかもまだひよっこなので。

普段やっていることと言えば、ネジを締めたり金ヤスリをかけたり、果ては荷物を運んだりと、単なる雑用係。

しかも、彼自身は、底辺工業高校卒だとか。

まともな奴がいません。

このメンバーで、シェルドニアの技術の粋を集めた『白亜の塔』を再現しようとは。

無謀にも程がある。

完全に、烏合の衆じゃないか。

まぁ、ルリシヤが意図して集めたメンバーだから。

わざとそういう、役に立ちそうで、全然役に立たないメンバーを募ったのだろう。

うっかり『光の灯台』を完成させられたら、こちらとしては困るどころではないからな。

無能を集めて、研究資料を前に頭を悩ませているくらいが丁度良い。

で、メンバーがそんな無能揃いなものだから。

「紹介しよう。今日から一緒に『光の灯台』開発チームに加わることになった、同志ルナニア・ファーシュバルだ」

「初めまして、ルナニア・ファーシュバルです。宜しくお願いします」

「彼は、なんとルティス帝国総合大学の現役学生なんだ。きっと、大いに我々の研究に貢献してくれるだろう」

と、ルリシヤが大袈裟に説明すると。

開発チームのメンバー達は、おぉ、と歓声をあげる始末だった。
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