The previous night of the world revolution~T.D.~
「ルティス帝国総合大学から…!」

「現役の学生さん?凄い!」

「あ、どうも…。教育学部ですけど…」

あんまり期待されても嫌だから、理系ではないことを暗に仄めかしてみたのだが。

「国内随一の大学から来られた学生と、研究を共に出来るなんて。とても光栄です」

「ルティス帝国総合大学の学生が加わってくれるなんて、百人力ですね!」

全然効いてない。

あのなぁ、いかに名門大学の学生と言えど。

俺、教師になる為の勉強しかしてないから。

思いっきり文系ですよ?

しかも、まだ在学中。

これが院生とか、せめて四年生ならともかく。

まだ一年生。この春入学したばかりなのに。

そんな、即戦力として使える訳がない。

それなのに、この喜びよう。

駄目だ。「ルティス帝国総合大学の学生」というだけで、物凄く頭の良い人扱いされてる。

そりゃ俺の頭は良いけれども。そこは否定しないけれども。

だからって、それで『光の灯台』が完成する訳ではないだろ。

自称低学歴の人達からしたら、雲の上の存在に思えるのかね?

ついでに言うと、同じ大学の同じ学部から、エリアスも来ているのだが。

あいつは今頃、万札数えてるからな。

えらい違いだよ。

まぁでも、ルリシヤからの紹介ということもあり、俺の身の上は全然疑われていないようだし。

新参者が出しゃばるな、となじられないだけ、良しとしよう。

すると。

「あ、サシャ博士。おはようございます」

「おはよう」

遅れ馳せながら。

例のシェルドニア人、サシャ・バールレン博士が、研究室に入ってきた。
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