The previous night of the world revolution~T.D.~
場所は、帝都の隅っこにある小さな市民ホール。
の、受付に座って、私と、そのもう一人の女性党員は、タブレットで観客席の様子を眺めながら、暇を持て余していた。
今の私達は、所謂受付嬢である。
今日はここで、『帝国の光』の講演会が行われている。
この講演会の手伝いの為に、私達『表党』の党員が駆り出されたのだ。
各地で、こうして『帝国の光』の講演会が行われているが。
今日の講演会に出演しているのは、ヒイラ・ディートハットではない。
別の党員が、ヒイラの代わりに壇上に立って、彼の考えを代弁しているに過ぎない。
とはいえ、恐らく壇上に立っているあの人は、『裏党』の党員なのだろう。
でなければ、ヒイラから講演会など任されるはずがないし。
あんなギラギラした目で、「ルティス帝国の未来が〜」なんて、語れるはずがない。
気持ちの悪い目だ。
盲信者の目。
それはともかく。
「思ってたのと違うって…何が?」
彼女は、そう尋ねてきた。
今は、目の前の「仕事」に集中しなくては。
こういうときが、絶好のチャンスなのだ。
監視カメラもなければ、他の人が立ち聞きしている訳でもない、今が。
「だって、私達、折角『帝国の光』に入ったのに…。やってることと言ったら、ただのボランティアじゃない」
私は、いかにもつまらなそうに言った。
「私は、ルティス帝国に革命を起こす為に『帝国の光』に入ったのに…。何だか、ただ良いように使われてるだけのような気がするわ」
「そ、そんな言い方…」
ちょっと言い過ぎただろうか?
いや、臆するな。畳み掛けろ。
「だってそうじゃない?講演会の受付嬢をやる為に、『帝国の光』に入った訳じゃないわ」
「それはまぁ…。私もそうだけど…」
食いついた。
やっぱり、彼女も同じことを考えていたようだ。
「こんな調子じゃ、革命なんていつ終わるのか分からないわ。今日だって…。こんな小さなホールで講演会をやったところで…。それも、ヒイラ党首じゃなくて、代理の人が来てるし…」
「あ…それは私も思った。今日講演会だって言うから、ヒイラ党首が来るのかと思ってたら、違う人なのね」
「あの人、知ってる?見たことある?」
「ううん…。見たことない」
そうだろうね。
分かっていながら聞いた。
当たり前だ。あの人は、間違いなく『裏党』の党員。
私達のような、『表党』の党員ではない。
見たことがあるはずがないのだ。
の、受付に座って、私と、そのもう一人の女性党員は、タブレットで観客席の様子を眺めながら、暇を持て余していた。
今の私達は、所謂受付嬢である。
今日はここで、『帝国の光』の講演会が行われている。
この講演会の手伝いの為に、私達『表党』の党員が駆り出されたのだ。
各地で、こうして『帝国の光』の講演会が行われているが。
今日の講演会に出演しているのは、ヒイラ・ディートハットではない。
別の党員が、ヒイラの代わりに壇上に立って、彼の考えを代弁しているに過ぎない。
とはいえ、恐らく壇上に立っているあの人は、『裏党』の党員なのだろう。
でなければ、ヒイラから講演会など任されるはずがないし。
あんなギラギラした目で、「ルティス帝国の未来が〜」なんて、語れるはずがない。
気持ちの悪い目だ。
盲信者の目。
それはともかく。
「思ってたのと違うって…何が?」
彼女は、そう尋ねてきた。
今は、目の前の「仕事」に集中しなくては。
こういうときが、絶好のチャンスなのだ。
監視カメラもなければ、他の人が立ち聞きしている訳でもない、今が。
「だって、私達、折角『帝国の光』に入ったのに…。やってることと言ったら、ただのボランティアじゃない」
私は、いかにもつまらなそうに言った。
「私は、ルティス帝国に革命を起こす為に『帝国の光』に入ったのに…。何だか、ただ良いように使われてるだけのような気がするわ」
「そ、そんな言い方…」
ちょっと言い過ぎただろうか?
いや、臆するな。畳み掛けろ。
「だってそうじゃない?講演会の受付嬢をやる為に、『帝国の光』に入った訳じゃないわ」
「それはまぁ…。私もそうだけど…」
食いついた。
やっぱり、彼女も同じことを考えていたようだ。
「こんな調子じゃ、革命なんていつ終わるのか分からないわ。今日だって…。こんな小さなホールで講演会をやったところで…。それも、ヒイラ党首じゃなくて、代理の人が来てるし…」
「あ…それは私も思った。今日講演会だって言うから、ヒイラ党首が来るのかと思ってたら、違う人なのね」
「あの人、知ってる?見たことある?」
「ううん…。見たことない」
そうだろうね。
分かっていながら聞いた。
当たり前だ。あの人は、間違いなく『裏党』の党員。
私達のような、『表党』の党員ではない。
見たことがあるはずがないのだ。