The previous night of the world revolution~T.D.~
俺とアリューシャは、手荷物だけを持って、これから自分が乗ることになる飛行機を眺めた。

…皮肉なもんだな。

船のみならず、飛行機もこの色とは。

ルレイアが最も嫌い、俺もあの一件で、大嫌いになった色。

真っ白な飛行機。

行き先は、勿論シェルドニア王国である。

そう。

俺とアリューシャは、これから、シェルドニア王国に向かうのだ。

何をしに行くのか?

それは、行ってからのお楽しみだ。

いずれにしても、楽しい観光旅行じゃないのは、お察しの通りだ。

あの国の実態を知っている俺達には、晴れやかな気持ちであの国に行くことなど、一生出来ないだろうな。

それでも、行かなければならない理由がある。

ならば、行く。

それだけの話だ。

迷うことなど何もない。ルレイアは、俺の命より大事な相棒は、俺なんかよりずっと危険な場所に、今もいるのだ。

それに比べれば、俺の危険など些末なものだ。

飛行機を眺めながら、そんなことを考えていると。

「…?どしたルル公、黄昏れて」

は?

「いや、別に黄昏れてはねぇよ」

「あぁ、分かる。分かるよその気持ちは」

何が?

「一時的とはいえ、愛武器取り上げられたらつれぇよなぁ。どうする?飛行機の中で襲われたら。アリューシャ、太刀打ち出来ねぇぜ」

ちげぇよ。

そういう話を考えていた訳ではない。

「襲われないだろ…飛行機の中で…」

金物類や金属類は、全部取り上げらるんだから。

まぁ俺はこっそり、ルリシヤの考案した、空港の手荷物チェックで引っ掛からない武器を、いくつか携帯してはいるが。

あくまで、それは保険だ。

これまで、これを飛行機の中で使ったことは一度もないし。

これからも…全くないとは言い切れないが…恐らくないだろう。

「そんなのわっかんねぇぜ?あぁ、やっぱりアリューシャのライフル、持ち込ませてもらえねぇかなぁ」

「無理を言うなよ…」

アリューシャの、あの愛用のライフル。

機内持ち込みどころか、国外に持ち出すだけでも、苦労したんだぞ。

何せ、マフィアの違法武器だからな。

アイズのコネと、闇の力によって、他の荷物と一緒に積み込んでくれただけ、マシだと思え。
< 607 / 820 >

この作品をシェア

pagetop