The previous night of the world revolution~T.D.~
駆けつけた警備兵の数は、およそ20人ほど。

ルレイアなら、一刈りで一掃出来る数だな。

そして俺は、いつもそんなルレイアの横について、一緒に戦ってきたのだ。

今更、数の暴力にはビビらない。

ましてや、こんなへっぴり腰集団など、何人集まろうと数のうちに入らない。

俺は、最大限の殺気を放った。

恐らく、彼らが初めて経験するであろう、

本物の、マフィアの殺気だ。

「…来いよ」

敢えて、シェルドニア語でそう言った。

どれだけ国が違っていようと、これが何を意味するのかは分かるな?

別に、挑発したつもりはない。

こんな烏合の衆、怖くもなんともない。

束になってかかってこられようと、まとめて返り討ちにしてくれる。

しかし。

「ひっ…」

「う、うぅ…」

情けないことに。

シェルドニア兵は、立派な小銃やショットガンを持って、俺より20倍も数の優位を取っていながら。

俺に挑んで、前に出る者は一人もいなかった。

それどころか、俺の殺気に怯えて、後退りする始末。

20人全員が、「誰か先に行ってくれ」と無言で言い合っている。

…アシミムよ。

お前の軍隊は、全く軍隊として機能してないな。

気の毒になってくるが、しかし、これがお前の国のやり方なのだから。

同情する必要はない。

俺は、手前にいた、震える手で拳銃を握っている若い男性兵士に、拳銃を向けた。

「ひ、ひっ!」

銃口を向けられ、彼は反射的に拳銃を向けてきたが。

あんなへっぴり腰じゃ、当たるものも当たらない。

そんなことより。

「アシミム女王と、ルシード・キルシュテンをここに呼べ。『青薔薇連合会』の幹部が来たと伝えろ」

俺は、彼らにも分かるよう、シェルドニア語で伝えた。

「え、え…?」

「…もう一度言わせる気か?」

「ひっ…」

呆ける兵士に向かって、再び殺気を浴びせてやると。

彼は怯えた表情のまま、伝言を伝えに踵を返した。

…本当に、実戦慣れしてないにも程があるな。

突然侵入してきた、得体の知れない敵に、自分達の国王を連れてこいと命じられ。

素直に、それに従おうとするなど。

そこは普通、「武器を捨てて投降しろ」と、逆に脅しをかけるところだろうに。

まぁ良い。

「来客」が俺達であることを知れば、奴らは俺達を無視出来ないのだから。
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