The previous night of the world revolution~T.D.~
「『白亜の塔』が…ルティス帝国に…!?何故、何故そんなことに?一体、何処から漏出したんだ?」
ルシードは、思わずシェルドニア語で呟いていた。
…何処から漏出したのかなんて、そんなの、俺が聞きたい。
…だが。
あのルシードが、ここまで我を忘れて狼狽するということは。
ルシードは、本当に何も知らないんだな。
少なくとも、ルシードは関与していないことが分かった。
「もっと正しく言えば、『白亜の塔』そのものではなく、『白亜の塔』に関する開発資料が持ち込まれた。かなり断片的な資料のようだが、それでも、ルティス帝国に新設された反政府組織が、その資料をもとに、『白亜の塔』を再現した建造物を造ろうと、研究を進めている」
ルティス帝国に新設された反政府組織とは、つまり『帝国の光』のこと。
そして、『白亜の塔』を再現した建造物というのは、『光の灯台』のことだ。
言うまでもないが。
「これはお前達の陰謀か?ルティス帝国国内に混乱を招き、国内を疲弊させる為の策略か?その為に、わざと『白亜の塔』に関する資料を、ルティス帝国に持ってきたのか?」
「まさか…!そんなことは有り得ない!『白亜の塔』に関する情報は、王族を始め、シェルドニア貴族の者しか知らない。ましてや、開発資料など…!国内でも、そんなものに触れられる人物は、数えられるほどしかいないはずだ」
「それは結構なことだな。で、それなら今、ルティス帝国で研究が進められている、あの『白亜の塔』の再現物は何だ?」
「…」
何も言えず、黙り込むルシード。
これで分かっただろう。
「お前がいくら反論しても無駄だ。アシミムを出せ。女王に直接確かめないことには、俺はお前達を信用しない。もしシェルドニア王国が悪意を持って、ルティス帝国に危害を加えるなら…そのときは、容赦しない」
「…分かった」
ルシードは、ようやく頷いた。
「主のもとに案内する。こちらに…」
「いいや、俺は動かない。ここにアシミムを連れてこい」
椅子もお茶も要らない。立ち話で結構だ。
「お前達のことは信用しない。お前達がルレイアに何をしたか、忘れたとは言わせないぞ」
「…」
アシミムが、本当にルティス帝国侵略を目論んでいるのなら。
そのアシミムのもとに招かれるなど、自ら敵の巣に飛び込むようなものだ。
また、あの恐ろしい洗脳装置を…ルレイアに使った、あの忌々しい装置を使われたら。
さすがに、こちらも打つ手がなくなるからな。
あれを使われるのを阻止する為にも、俺はこの場所からは動かない。
それに、俺がここから動いたら、アリューシャも狙撃ポイントを移動しなくてはならなくなる。
是が非でも、俺はアリューシャのスコープ圏内に居なければならないのだ。
だから、動くなら、そちらが動け。
自分達が誠実だと主張するなら、それなりの誠意を見せろ。
「人払いをさせた上で、アシミムをここに連れてこい。俺は武器を離さないし、お前も帯刀したままで構わない」
「…分かった。そちらの要求を呑もう」
それで良い。
どうやらルシードは、自分の主にかかっている嫌疑を解きたくて、必死なようだな。
同感だよ。
俺としても、今から国家間の争いなんて御免だ。
こんな最悪な「海外旅行」は、単なる徒労であったと溜め息をつくくらいで、丁度良いのだ。
ルシードは、思わずシェルドニア語で呟いていた。
…何処から漏出したのかなんて、そんなの、俺が聞きたい。
…だが。
あのルシードが、ここまで我を忘れて狼狽するということは。
ルシードは、本当に何も知らないんだな。
少なくとも、ルシードは関与していないことが分かった。
「もっと正しく言えば、『白亜の塔』そのものではなく、『白亜の塔』に関する開発資料が持ち込まれた。かなり断片的な資料のようだが、それでも、ルティス帝国に新設された反政府組織が、その資料をもとに、『白亜の塔』を再現した建造物を造ろうと、研究を進めている」
ルティス帝国に新設された反政府組織とは、つまり『帝国の光』のこと。
そして、『白亜の塔』を再現した建造物というのは、『光の灯台』のことだ。
言うまでもないが。
「これはお前達の陰謀か?ルティス帝国国内に混乱を招き、国内を疲弊させる為の策略か?その為に、わざと『白亜の塔』に関する資料を、ルティス帝国に持ってきたのか?」
「まさか…!そんなことは有り得ない!『白亜の塔』に関する情報は、王族を始め、シェルドニア貴族の者しか知らない。ましてや、開発資料など…!国内でも、そんなものに触れられる人物は、数えられるほどしかいないはずだ」
「それは結構なことだな。で、それなら今、ルティス帝国で研究が進められている、あの『白亜の塔』の再現物は何だ?」
「…」
何も言えず、黙り込むルシード。
これで分かっただろう。
「お前がいくら反論しても無駄だ。アシミムを出せ。女王に直接確かめないことには、俺はお前達を信用しない。もしシェルドニア王国が悪意を持って、ルティス帝国に危害を加えるなら…そのときは、容赦しない」
「…分かった」
ルシードは、ようやく頷いた。
「主のもとに案内する。こちらに…」
「いいや、俺は動かない。ここにアシミムを連れてこい」
椅子もお茶も要らない。立ち話で結構だ。
「お前達のことは信用しない。お前達がルレイアに何をしたか、忘れたとは言わせないぞ」
「…」
アシミムが、本当にルティス帝国侵略を目論んでいるのなら。
そのアシミムのもとに招かれるなど、自ら敵の巣に飛び込むようなものだ。
また、あの恐ろしい洗脳装置を…ルレイアに使った、あの忌々しい装置を使われたら。
さすがに、こちらも打つ手がなくなるからな。
あれを使われるのを阻止する為にも、俺はこの場所からは動かない。
それに、俺がここから動いたら、アリューシャも狙撃ポイントを移動しなくてはならなくなる。
是が非でも、俺はアリューシャのスコープ圏内に居なければならないのだ。
だから、動くなら、そちらが動け。
自分達が誠実だと主張するなら、それなりの誠意を見せろ。
「人払いをさせた上で、アシミムをここに連れてこい。俺は武器を離さないし、お前も帯刀したままで構わない」
「…分かった。そちらの要求を呑もう」
それで良い。
どうやらルシードは、自分の主にかかっている嫌疑を解きたくて、必死なようだな。
同感だよ。
俺としても、今から国家間の争いなんて御免だ。
こんな最悪な「海外旅行」は、単なる徒労であったと溜め息をつくくらいで、丁度良いのだ。