The previous night of the world revolution~T.D.~
「兄弟喧嘩なら、勝手にやってれば良い。だが、お前の馬鹿な弟が、『白亜の塔』に関する資料を持ち出したことに気づいた時点で、お前はそのことを、アシミムに報告するべきだった」
「…そ、それ…は…」
出来なかったんだろう?知ってるよ。
バールレン家という、シェルドニア王国の立派な貴族の名前に、傷がつくもんな。
まさか自分の愚弟が、国の秘宝とも言える『白亜の塔』の開発資料を、安易に持ち出したなんて。
しかも、その弟の行方も分からない、なんて。
そのきっかけが、ただの兄弟喧嘩だった、なんて。
言えないもんな。恥ずかしくて。
そんなことが他の貴族達に知られたら、大恥だもんな。
国を挙げて、馬鹿な弟を捜索するなんてことになったら、恥ずかしくて表を歩けないもんな。
下らない、馬鹿馬鹿しい、貴族のプライドが。
事態を、ここまで悪化させたのだ。
「お前が恥を忍んで、速やかにアシミムに報告していれば。サシャがルティス帝国に着く前に、阻止出来たかもしれない。そうすれば、ルティス帝国が脅かされることはなかった」
ルレイアや、ルリシヤやルーチェスやシュノが、あんな危険な目に遭うことはなかった。
アイズが頭を悩ませることもなく、俺やアリューシャが、危険な異国の旅に来ることもなかった。
ルーチェスの嫁だって、一人箱庭帝国に置き去りにされることもなく。
ルーシッドも、『ルティス帝国を考える会』で、ずっと肩身の狭い思いをすることもなかった。
俺達『青薔薇連合会』は、今も平穏な日々を送っていられたのだ。
その日々を、この男がぶち壊しにしたのだ。
「…もっと早くに報告してくれさえすれば、わたくしも手を打ちましたわ。『白亜の塔』の秘密は、門外不出の極秘情報ですもの…」
アシミムが、力なく呟いた。
そうだな。アシミムも、無駄に俺に脅されて、肝を冷やした訳だからな。
一応、テナイの被害者の一人だ。
「ま、まさかルティス帝国に行っているなんて。まさかルティス帝国で、『白亜の塔』を造ろうとしているなんて。弟がそこまで考えているなんて、知らなかったんです…!」
テナイ・バールレンは、俺に縋り付くようにそう言った。
今となっては、そうやって言い逃れするしかないのだろう。
「…そ、それ…は…」
出来なかったんだろう?知ってるよ。
バールレン家という、シェルドニア王国の立派な貴族の名前に、傷がつくもんな。
まさか自分の愚弟が、国の秘宝とも言える『白亜の塔』の開発資料を、安易に持ち出したなんて。
しかも、その弟の行方も分からない、なんて。
そのきっかけが、ただの兄弟喧嘩だった、なんて。
言えないもんな。恥ずかしくて。
そんなことが他の貴族達に知られたら、大恥だもんな。
国を挙げて、馬鹿な弟を捜索するなんてことになったら、恥ずかしくて表を歩けないもんな。
下らない、馬鹿馬鹿しい、貴族のプライドが。
事態を、ここまで悪化させたのだ。
「お前が恥を忍んで、速やかにアシミムに報告していれば。サシャがルティス帝国に着く前に、阻止出来たかもしれない。そうすれば、ルティス帝国が脅かされることはなかった」
ルレイアや、ルリシヤやルーチェスやシュノが、あんな危険な目に遭うことはなかった。
アイズが頭を悩ませることもなく、俺やアリューシャが、危険な異国の旅に来ることもなかった。
ルーチェスの嫁だって、一人箱庭帝国に置き去りにされることもなく。
ルーシッドも、『ルティス帝国を考える会』で、ずっと肩身の狭い思いをすることもなかった。
俺達『青薔薇連合会』は、今も平穏な日々を送っていられたのだ。
その日々を、この男がぶち壊しにしたのだ。
「…もっと早くに報告してくれさえすれば、わたくしも手を打ちましたわ。『白亜の塔』の秘密は、門外不出の極秘情報ですもの…」
アシミムが、力なく呟いた。
そうだな。アシミムも、無駄に俺に脅されて、肝を冷やした訳だからな。
一応、テナイの被害者の一人だ。
「ま、まさかルティス帝国に行っているなんて。まさかルティス帝国で、『白亜の塔』を造ろうとしているなんて。弟がそこまで考えているなんて、知らなかったんです…!」
テナイ・バールレンは、俺に縋り付くようにそう言った。
今となっては、そうやって言い逃れするしかないのだろう。