The previous night of the world revolution~T.D.~
などと思いながら、身支度をして部屋を出る。

少なくとも、外に監視カメラはつけられないという点で。

家の中にいるより、外にいる方がよっぽど気持ち的に楽だよな。

とは言っても、このアパートの敷地内は、まだまだ油断ならないが。

今頃、外出している俺の姿を、住人の誰かが窓からじっと眺めていることだろう。

見んな。

俺は、さり気なく郵便受けを確認する振りをして、中にあった小さな紙片をそっと手のひらの中に握り締めた。

早速、ルリシヤからのお返事が来ている。

さすが、仕事の早い御方だ。

しかしメモの返事を見るのは、この敷地内を出てからでないと。

アパートの敷地内から出て、俺は手のひらの中のメモを見た。

『無事帰国したそうだ。全てアイズ先輩の計画通り(^_-)-☆』

だ、そうである。

素晴らしい。

俺がルルシーとランデブー出来る日は近いな。

短いメモだが、俺のやるべきことも記されている。

アイズ先輩の計画通り、というこの一文。

つまり、俺はこのまま、アイズの立てた計画通りに行動すれば良いという訳だ。

計画に変更はなし。

それじゃ、今日も頑張って、『光の灯台』(笑)を造りますかねー。

と、思っていると。

「おーい!ルナニア」

「ん?」

『帝国の光』本部へと「出勤」する俺の後ろから、俺を呼び止める声が聞こえた。

振り返ると、エリアスが走ってきていた。

あぁ、そういやお前、今俺と同じ監視付きアパートに住んでるんだっけ。

俺の監視が解かれてないってことは、こいつの監視もまだ解かれていないのだろうが…。

この呑気な表情を見たところ、エリアスは自分がアパートの中で監視されていることに、まだ気づいていないのだろうな。

頭の中お花畑で、羨ましい限りだよ。

と、皮肉の一つでも言いたくなったが。

しかし、俺は現在ルナニア・ファーシュバルなので。

本音を口にする訳にもいかない。

あくまでも、にこやかに対応しなければ。
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