The previous night of the world revolution~T.D.~
それからしばらく、『ルティス帝国を考える会』の会員達に、色々質問攻めにされた。

相変わらず、『ルティス帝国を考える会』は、熱心な会員が多いこと。

まず最初に聞かれたのは、『帝国の光』ではどんなことをしてるのか、という質問。
 
非常に答えにくい質問をありがとう。

実は君達を洗脳する為の、『光の灯台』とかいうチートアイテムを作ってます、とも言えず。

かと言って、エリアスがやっている、札束業務を答えるのも。

『ルティス帝国を考える会』の会員達は、『帝国の光』に入ったからには、きっと素晴らしい活動をさせてもらってるんだろう、と信じて疑ってないので。

実際は全ッ然そんなことないんだよ、とは言いにくい。

仕方ないので、俺はヒイラに指示された通りに答えた。

俺は、『帝国の光』が主催する各地での講演会の企画に携わっている。

エリアスは、『帝国の光』の経理を任されている。

そういうことにしておいた。

あながち、間違ったことは言ってないぞ。

札束を延々と数え続ける鬱作業も、一応経理のうちに入るし。

案の定、『考える会』のメンバー達は、自分達の会から選出された会員が、『帝国の光』で重要なポストを与えられたことに、喜んでいた。

おめでたい奴らが多くて、嫌になる。

おめでたくないのは、一人だけだ。

忘れちゃいないか?

俺は忘れてた。

部屋に入って顔を見て、やっと思い出した。

ルーシッドの存在を。

こいつ、未だに『ルティス帝国を考える会』に通い詰めていたんだ。

まぁ、俺達が超危険な任務についているのに、お前だけ逃げたとなっては、ちょっと帝国騎士団ぶっ潰しに行かなきゃならなくなるので。

お前は、どんなに居心地が悪くても、ここにいろよ。

お前がこの大学から去るのは、『ルティス帝国を考える会』が解散されたときだ。

それまでは、ここにいろ。

とはいえ、俺とルーシッドは顔を合わせたものの、言葉を交わすことはなかった。

ルーシッドは相変わらず、『ルティス帝国を考える会』の鼻摘み者で。

一方の俺は、あの『帝国の光』に選ばれた、革命闘士のエリート。

熱意が違う。

そして、そんな熱意に満ちた『考える会』の会員達が、次に質問してきたのは。

どうやったら、自分達も『帝国の光』の党員に選ばれるか、という問いだった。

そんなこと聞かれても。

一番手っ取り早いのは、『ルティス帝国を考える会』をやめ、ルティス帝国総合大学をやめ。

身一つで、『帝国の光』に入党届を出すことだが。

彼らは、そんな方法を求めているのではない。

こいつらは俺とエリアスのように、推薦を受けて『帝国の光』に入りたいのだ。

無駄なエリート思想が、ここに来て発揮されているな。

皆平等なんじゃなかったのか?

この質問については、俺もよく分からないのだ、と答えておいた。

まさか、裏で先に潜入していた仲間に推薦してもらった、とも言えないしな。

それにな。

『帝国の光』に入れたとしても、お前達は平等じゃないんだよ。

入れば早速、表と裏に分かれさせられ、あの偽善者野郎のヒイラに認められるまで、ずっと騙されたまま。

それならいっそ、ここ『ルティス帝国を考える会』で、『帝国の光』に入ることを夢見ていた方が幸せというものだ。
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