The previous night of the world revolution~T.D.~
俺は、借りてきた音楽療法の本を取り出して、ノートパソコンの前に座った。

多分、家に置いていたこのPCの中身も、調べられてるんだろうな。

別に構わない。これは、この任務に当たって用意したPCだ。

調べたって、重要なものは何も出てこない。

俺の本当のパソコンには、ルルシーのにゅふふな動画や画像がたっぷり詰まっているから、他人に見せるわけにはいかない…。

と言うか、絶対他人には見せたくない。俺だけが独占していたい。

けれども、仕事用のパソコンなら、いくらでも見てくれ。

怪しいものは、何もない。

それどころか、俺が『光の灯台』の完成に向けて、レポートを作成している…つまり、『光の灯台』完成の為に貢献しているということが分かるので。

是非、家宅捜索の際には、パソコンもよく見てくれ。

逆に、俺の信用度が上がるだけだ。

これまでも、こんなこともあろうかと、自分なりに『光の灯台』に関する資料の作成と、独自の見解を示した論文を、このパソコンで作成してきた。

奴らは恐らく、それも見つけたはず。

暇潰しがてら、信用度を上げようと思って取り組んだことだが。

これが、プラスに働いていれば良いのだが。

さて、それはそれ。

さぁ、今日も組織への忠誠を示す為に、レポート作成に取り掛かるかな、と。

パソコンを立ち上げてみたところ。

「…ん?」

何やら、メールが届いていた。

何だ、このメール。

パンドラの箱か何かかと思って、開いてみると。

全然そんなことはなかった。

『帝国の光』からではなく、ルティス帝国総合大学からのメールだ。

何かと思って開いてみると。

それは警告文…ではなく。

最早、判決文だった。

学部の必修科目の担当教授からのメールで、そこには…要約すると、

「お前授業の出席日数足りてないから、今年度は単位を出す訳にはいかない」とのこと。

…俺、留年確定?

おいおいマジかよ。こんなに真面目で賢い、熱心な学生が。

何でこんなことに?

そりゃ確かに、俺全然授業には出てないけれど。

この授業については、最低限単位を取れるよう、ABC三兄弟に代返を頼んでおいたはず。

これはどうしたことか。

俺は、即座にABC三兄弟に、それぞれメールを送った。
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