The previous night of the world revolution~T.D.~
レポートを作成していると、三兄弟からそれぞれ返信が来た。

まず、Aから。

『ごめん(>人<)。つい忘れてて…。本当ごめん(_ _;)』とのこと。

謝罪を顔文字で済ませようという、この浅はかな考え。

顔文字はそんなに万能じゃないし、ついでに言うと、

必修科目を落とした人間に、顔文字程度の謝罪で済ませる辺り、こいつは極悪人だ。

必修科目落としたんだぞ。そりゃ代返頼んだ俺も悪いんだろうけど、引き受けたからにはちゃんとやれよ。

顔文字で済ませて良い問題じゃねーだろ。

まぁ、素直に謝ってきたのは認めるが。

こいつとは、もう縁切りだな。

次、Cから来た言い訳メール。

『バイト詰め込み過ぎて、俺も自分の講義に出るのに精一杯で、頭が回らなかったんだ。悪かったよ。
実は俺、『ルティス帝国を考える会』にももうあんまり出てないんだ。結構な額を親に借りちゃったから、そのこともかなり親に責められて…。今はそれ返すのに大変なんだ。頼まれてたのに、本当済まなかったと思ってるよ。
でも代返ってやっぱり悪いことだから、いくら『帝国の光』に入ってても、講義には自分で出た方が良いと思う。』とのこと。

なげーよ馬鹿。

出たよ、この、相手に読ませる気のない長文メール。

言い訳タイム始まりました、って感じだな。

しかも、説教かましてきやがった。

自分がさぁ、悪いことだと知っていながら、「代返引き受けるよ」と言って快く引き受けておきながら。

単位落とすことが確実になった今、やっぱり悪いことだからやめよう、って?

自分勝手過ぎんだろ。

お前、親から金借りて献金に回してたんだっけな。やっとバレたのか。そりゃ怒られるわ。

で、その借金を耳揃えて返す為に、バイト頑張ってます、と。

ご愁傷様だな。

世間では、これを自業自得と言う。

何と言って親から金を借りていたのかは知らないが、その用途が発覚して、両親激怒だったろうなぁ。

とりあえず、約束を破ったことは確かなので、こいつも縁切り。

…で。

時刻は、午前二時過ぎ。

最早深夜、丑三つ時って奴だが。

ん?幽霊が出る時間じゃないか、って?

出てこいよ。相手してやるから。

しかし、この時間になっても。

Bから、返信が来ない。

まさかの、メールスルーかよ。

見なかったことにしやがったぞ、あいつ。

返信を催促しても良いのだが、どうせこいつも、ACと大して変わらない返事しか寄越さないだろう。

サッカーボール追いかけるのに夢中で、とか言うんじゃないの?

まぁどんな言い訳をされても、俺が単位を落としたことに変わりはない。

そして、この時間になっても、メールを返信もせずに見なかった振りをしている時点で。

こいつも、縁切り決定。

さよならABC三兄弟。

最後まで俺、お前らの名前覚えきれなかったよ。

そして。

さよなら俺の必修単位。

ルティス帝国イチの名教師、ちょっと憧れてたのになぁ。

ま、本業はマフィアの幹部だし、どうでもいっか。
< 694 / 820 >

この作品をシェア

pagetop