The previous night of the world revolution~T.D.~
あれだけ、平等な世の中を望んでいながら。

誰よりも、平等に扱われることを望んでいながら。

今はこうして、誰よりも『表党』の人々を差別している。

そんなもんだよ、人間なんて。

その点、年齢サバ読みおばさんは…あのルチカ・ブランシェットは。

ヒイラよりも、人々に誠実だったと言えるのかもしれない。

少なくともあの女は、信仰心や忠誠心の程度で、人を区別したりはしなかった。

お前は最早、国家掌握を望む野心家以外の、何者でもない。

だから。

「さぁ、こちらです同志ヒイラ」

「あぁ…!」

俺は、お前の野望を打ち砕く。

お前の夢見た壮大な計画に、死をもたらす死神になる。

秘密の、地下研究室。

その扉を開けると、そこには、小さな白い塔があった。

ヒイラがご執心の、『光の灯台』だ。

「やぁ、同志ヒイラ。待ってたよ」

そこには、ルリシヤが待ち構えていた。

ルリシヤの方も、準備万端だな。

「同志ルニキス、サシャ博士、皆…『光の灯台』が完成したって、本当なのか?」

食い気味に、ヒイラが聞いた。

「あぁ。まだ試用段階ではあるが、理論上はこれで完成のはずだ」

「…!」

ルリシヤの、この確信を持った言葉に。

ヒイラのみならず、サシャ・バールレンも、他の開発チームメンバーも、驚愕と感嘆に目を見開いていた。

「同志ルナニアのお陰だ。彼が研究を手伝ってくれたお陰で、一気に完成に近づいたんだ」

俺に手柄をくれるのか。ありがとう。

でも総合的に考えて、今回の一連の事件のMVPは、多分あなたなんじゃないですかね。

さすがの俺も、今回はあなたに譲りますよ。

「そうか…!良かった。よし、早速…」

これを使って、『表党』の党員を説き伏せようとしたのだろうが。

「待ってくれ、同志ヒイラ」

ルリシヤが、それにストップをかけた。
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