The previous night of the world revolution~T.D.~
このときの、シュールな光景を、どう説明したら良いのか。

『光の灯台』のてっぺんが弾け。

その中から出てきたのは、無音で無臭の謎の電波…ではなく。

大量の、カラフルなラメ付き紙吹雪とリボン。 

青い薔薇のペーパーフラワーが、辺りをふわふわと舞っている。

周囲に漂うのは、甘いフレグランスな香り。

そして、リボンの先に結ばれた、いくつもの青いバルーンが、プクッと膨らんだ。

よく見たら、そのバルーンは、一語ずつ文字の形をしている。

左から読んでみよう。

「祝!ドッキリ大成功」。

同時に、『光の灯台』全体がクリスマスツリーのように、ピカピカとカラフルに点滅し。

弾けたはずのてっぺんには、大きな星が光っていた。

これじゃ、本当にクリスマスツリーだな。

ダイナミッククリスマスツリー。

「…」

それを見たヒイラの、このポカーン顔。

…もう、限界です。

「ぶっ…はははははは!」

こんなのもう、腹抱えて笑うしかないじゃないか。

これでルティス帝国の歴史が変わるとか、マジでもう、草しか生えないんですけど。

「どうだ、ルレイア先輩。素晴らしい出来だろう?」

対するルリシヤの、この渾身のドヤ顔。

「いや、本当あなた素晴らしいですよ、ルリシヤ」

「『光の灯台』がコンセプトだったからな。今回は最大限ゴージャスに、かつインパクトのある出来にしてみた」

「アリューシャが喜びそうですね」

「そうだな。今年のクリスマスツリーは、俺が自作させてもらうとしようか」

それは良い。

今から、クリスマスが楽しみだ。

「しかし、どんな仕込みかと思ったら、今回はド直球ですね。ドッキリ大成功とは」

『光の灯台』の仕上げについては、ルリシヤに任せていたから。

どんな仕掛けが施されているのかは、俺も知らなかった。

「こういうときこそ、王道を行くべきだと思ってな。これでも苦労したんだぞ?あの狭いスペースに、バルーンを仕込むのは」

でしょうね。

さすがルリシヤ。『青薔薇連合会』1の器用者。

「120点満点ですよ、ルリシヤ」

「ありがとう、ルレイア先輩。苦労が報われた気分だ」

こちらこそ。

最高の芸術作品をありがとう。

最高に楽しめましたよ。
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