The previous night of the world revolution~T.D.~
しかし。

一方のヒイラと、サシャ・バールレン。

それから、他の開発チームメンバー達は。

相変わらずぽかんとして、目の前の光景が信じられないご様子。

おいおい、ドッキリ大成功なんだからさ。

もっとこう、反応があるだろう?面白い反応が。

「起きてます?大丈夫ですか?」

俺は、ヒイラに話しかけてみた。

もしかしたら、ルリシヤの傑作にあまりにも感動して、言葉が出なくなってしまったのかもしれない。

と、思ったが。

「…何だ?これは」

あ、口利いた。

「見ての通り、ドッキリ大成功です。ねールリシヤ」

「そうだな、ルレイア先輩」

今なら、お互い気兼ねなく本名で呼び合える。

ささやかだが、確かな幸せだ。

「ルリシヤって誰だ?…ルレイアって?」

「勝手に呼び捨てにしないでもらえます?」

「…君達のことか?君達は…何なんだ?これは何だ?どういう冗談だ?」

冗談?

全く、本当に笑わせてくれる。

「これを見て、まだ冗談だと思えるんですか?おめでたいですね」

「それより、俺の傑作の『光の灯台』を見てくれ。ちゃんとピカピカ光ってて綺麗だろう?誰にも見つからないように細工するの、大変だったんだぞ」

ご苦労様です。

しかし、罰当たりなヒイラは、ルリシヤの傑作には目もくれず。

親の仇でも見るかのような、異様な眼光で、俺とルリシヤを見た。

「…俺を、騙したのか?二人で、結託して?」

「騙した?人聞き悪いですね」

「全くだ。先に疑ったのはそっちだろう?」

散々人のこと監視して、高みの見物してさ。

自分は散々人を疑っていたのに。

どうして、自分は簡単に信じてもらえると思ったんだ?

「俺達は最初から、この日の為にここにいるんですよ」

「…!」

「あぁ。全く長かったな」

「…」

衝撃の新事実を知らされ。

ヒイラは、呆然と呟いた。

「…最初から?ルニキス…君は、俺のことをずっと騙してたのか?全部作り話だったのか?俺達の…信頼関係も?」

「全部が全部作り話って訳じゃないが、まぁ、そうだな。最初から騙していた。俺はお前に気に入られるよう、ずっと演技していた」

「…」

「信頼関係なんて、ハナから俺達の間にはなかった。だが…それはお互い様だろう?お前だって、誰も信じてなかったんだから」

「…何だよ、それ…」

ヒイラの声に、怒りが混じった。

「何だよお前…!そんな、悪びれもせず…!」

「悪びれもせず他人を監視し、悪びれもせず他人を洗脳しようとした人間が、何を言ってるんだ?」

ド正論。

他人を洗脳して、自分の言うことを聞かせようとする奴が、何で信じてもらえると思うのか。

何でそんな奴と、友情を育めると思ったのか。

「お前も…ルナニア、お前も敵だったんだな?」

あ?

「あなたの味方になったつもりなんて、俺はちっともありませんけど。あんな監視部屋に入れておきながら、よく言えますね」

お前が一番、俺を敵認定してたんじゃないかよ。

「相手が悪かったですね。これが俺の…俺達のやり方なんですよ」

見抜かなければならなかった。お前は。

俺達の本意に。演技していることに。気づかなければならなかった。

それが出来なかった時点で、お前の負けなんだよ。
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