The previous night of the world revolution~T.D.~
「何なんだ、お前達は…。帝国騎士団の回し者か!?」

ちょっと待て。

「あんな奴らと、一緒にしないでもらえます?」

帝国騎士団と同列に語られるなんて、鳥肌が立つからやめろ。

確かに同盟は組んでいる状態だが、それでも俺は、帝国騎士団の回し者になったつもりはないぞ。

これは、『青薔薇連合会』の仕事だ。

あぁ、そうだ。帝国騎士団と言えば。

「お望みの帝国騎士団なら、そろそろ上に来てると思いますよ」

「!?」

俺は、上を指差してそう言った。

ルーチェスが、待機させていた帝国騎士団の連中に突撃要請をしたはずだ。

「容疑は、違法な武器の所有と、それに伴う国家反逆罪」

「な、何だって!」

「驚いた振りは結構ですよ。分かってたことでしょう?自分が法に触れる行為をしているなんて」

むしろ、何で自分だけは大丈夫だと思えたのか。

「まずは上にいる『表党』が、参考人として連行。次に『裏党』の皆さんがお縄でしょうね」

「…!」

「ご愁傷様だな。まぁ、これも身から出た錆。甘んじで受け入れてくれ」

「な…。そんな…」

「『帝国の光』は終わりです。呆気なかったですね」

まぁ。

人生の終わりなんて、案外そんなものだ。

あぁ、そうだ。それともう一つ。

「そこで、アホみたいに放心してるあなた」

「…」

「あ、な、た、ですよ。聞こえてますか?若ハゲ博士」

「…!」

若ハゲの自覚があったのか、それとも博士と呼ばれて気づいたのか。

ルリシヤの芸術作品、『光の灯台』を見て、ずっと放心していたサシャ・バールレンが、やっと我に返った。

多分、自国にある『白亜の塔』に比べて、遥かに華やかで素晴らしい出来だから、呆気に取られていたのだろう。

分かる分かる。めっちゃ綺麗だもん、この『光の灯台』。

「帝国騎士団経由で、お兄様から帰国命令が出てますよ」

「!?」

「それと、女王様もお怒りだそうです。さっさと帰った方が身の為ですよ」

家宝を持って、勝手に家出した罪を、ちゃんと償ってもらわないとな。

逃げられたら面倒だと思っていたが、この家出若ハゲ博士(笑)には、逃げる気力も度胸もないようで。

ただただ、目の前の現実に呆気に取られ、へなへなと座り込んでしまった。

あーあ。情けないったら。

故郷の兄も大概だが、お前はもっと情けないよ。

「…で、他の皆さんはどうします?」

俺は、開発チームのメンバー含め、一連の裏切り劇を見ていた、『裏党』の党員達に向き直った。
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