The previous night of the world revolution~T.D.~
「このままだと皆さん、帝国騎士団に捕まりますけど。これからどうします?」

『帝国の光』はもう終わった。

帝国に、光なんてなかった。

強いて言うなら、『光の灯台』がキラキラしてて綺麗なくらいかな。

「大人しく投降しますか?それとも…」

俺は、彼らの後ろにあるものを指差した。

「その武器を取って、抵抗しますか?」

俺が指摘して初めて、彼らは自分の後ろに武器があることを思い出したようだった。

おいおい。自分の持ち物くらい、ちゃんと把握しとけよ。

何の為に、馬鹿みたいな金をはたいて、それらを買い集めたと思ってるんだ?

こんなときの為じゃないのか?

それとも、もう気力が削がれて、大人しく投降した方が良いか?

どちらでも、好きな方を選んでくれ。

すると。

「…終わって、たまるか。こんなところで…」

ヒイラが、怒りに震えながらそう言った。

騙された怒り。謀られた怒り。…裏切られた怒り。

分かる、分かりますよその気持ち。

あなたは今、憤怒に燃えているんですよね?

そう来なくては。

「お前達、武器を取れ!この裏切り者共を殺すんだ!『帝国の光』は、まだ終わってない。俺がいる限り!」

ヒイラは叫び、『裏党』の党員達に指示した。

それでも動けない彼らに、ヒイラは更に叱咤をかける。

「ルティス帝国の未来を、こんな卑怯な奴らに託して良いのか!?武器を取って戦え!こいつらは、国家の敵だ!」

ルティス帝国の未来。

と、いう魔法の一言で。

彼らは弾かれたように我に返り、そして俺とルリシヤに敵意の目を向けた。

成程。

お前達は、『光の灯台』…ならぬ、『白亜の塔』を使わずとも洗脳済みか。

「…良いですよ。掛かってきてください」

最近、俺が格好良く無双する機会がなくて、うずうずしていたところだったんだ。

鎌がないのが残念だが。

それでも、ルティス帝国の死神ルレイアは健在である。

「ルレイア先輩、俺の武器は、新型スーパーボール型武器が複数と、愛用ツールナイフ程度なんだが」

と、ルリシヤ。

まぁ、今回は、相手を殺す訳にはいかない。

相手は裏社会の人間じゃない。武器を持っているとはいえ、ただの堅気だからな。

「ルレイア先輩、何か武器持ってるか?」

「心に死神の鎌を持ってます」

「成程、なら安心だな」

じゃ、行こうか。

死神ルレイア、ここに見参である。
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