The previous night of the world revolution~T.D.~
「俺は、地下に行かなきゃならない」

「はい」

「多少強引になると思うが、ルーチェス、協力してくれ」

「良いですよ。『強引』なのは、師匠譲りで好みですから」

そういう意味ではない。

しかしこの男は、頼りにはなる。

「とはいえ、僕今、ほぼ丸腰なんですよね。どうしましょう?」

「生憎、お前の愛剣は持ってきてないが…これならある」

そう言って。

俺は、帝国騎士団御用達の剣を一本、ルーチェスに渡した。

「あれ、懐かしい代物を…。どうしたんです?これ」

マフィアである俺が、帝国騎士の装備を持っているはずがない。

が、今は緊急事態だ。

「その辺にいる帝国騎士からパクッ…拝借してきた」

俺も、脳みそが相棒と同じになり始めてる気がするな。

何だか恐ろしい気もするが、それで奴を救えるのなら、何にでもなる。

「…大胆で素敵ですね。この愛が、リアルBL…」

何恍惚として呟いてるんだ、この煩悩弟子は。

「おい。殴るぞ」

「はいはい分かりました。これも、師匠夫妻の愛の手助け!僕は弟子として、心の底から応援すると共に、二人の愛の助太刀をしますよ」

助けてくれるのは嬉しいが、その言い方はやめろ。

「まずは、この群衆を突破して…建物の中に入りましょうか」

「あぁ」

俺とルーチェスは、群衆を掻き分けるようにして、建物の中に向かった。
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