The previous night of the world revolution~T.D.~
地下に降りたからには、最早彼らが何処にいるのかなんて、探す必要はなかった。

戦闘音が、広い地下空間に反響している。

その音の出処を、辿っていけば良い。

音が近くなっていく度、俺は緊張感が高まっていった。

激しい戦闘が行われているようだ。

あの中に…あいつも…。

今すぐに、助けに行かなければ。

「…!この先か」

一際激しい戦闘音が聞こえ、俺は一気に、そこに飛び込んだ。

すると、そこには。

「…!ルリシヤ…!」

俺は、仮面をつけた後輩の姿を見つけた。

武装した『裏党』の党員10人ほどに囲まれ、絶賛ピンチ状態だ。

すぐに助け、

「ふふふ、俺の前に姿を現すとは、良い度胸だ。監視部屋で長らく監禁されながらも、それでも諦めきれずにこっそり作った、このスーパーボールの味を味わいたいらしいな?」

…あっ。

なんか、俺、逃げてた方が良い感じ?

身の危険を察知した俺は、サッと物陰に隠れた。

すると。

「何を言って…!この裏切り者め!」

「粛清だ!裏切り者はしゅくせ、むごっ!」

むご?

「むぐっ!」

「んぐっ!?」

むぐ?

こっそりと、物陰から様子を見てみると。

ルリシヤを取り囲んでいた何人かが、武器を捨てて床に手をついていた。

な、何が…。

「まだまだあるぞ。ふっ」

ルリシヤは、ひゅんっ、ひゅんっ、と青いスーパーボールみたいなものを、『裏党』達の口の中にぶん投げていた。

メジャーリーガーもびっくりの、スピードとコントロール力。

な、何を食わされてるんだ?あれは…。

「むぐっ…。うぇぇぇぇ」

「げほっ!おぇぇっ」

床に倒れ伏した被害者達は、ちょっと、えーと…。

言いたくないが、その…つまり、床に、激しく嘔吐していた。

その理由は明白。

周囲に立ち昇る、吐き気を催すような、生臭い匂い。

ルリシヤは、青いスーパーボールを指に挟みながら、勝ち誇ったように言った。

「どうだ?これぞ俺の新作…。『嘔吐必至★生ゴミブレンドスーパーボール』だ」

最悪なものを作っていらっしゃるようで。

それを口の中に投げ込まれた、連中が可哀想になってきた。

この匂いだけで、もう吐きそう。
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