The previous night of the world revolution~T.D.~
と、再会を喜んだところで。

「…じゃ、後のことは先輩方にお任せして、僕は嫁を迎えに、箱庭帝国にひとっ飛びしてきまーす」

「あ、はい行ってらっしゃい」

すちゃっ、と片手を上げて挨拶し、さささーっと立ち去るルーチェスである。

そんなルーチェスの背中を見ながら。

「あいつ…。もうちょっとこう、余韻みたいなものはないのか…?ますますルレイアそっくりだな…」

ルルシー。それは褒め言葉だと思って良いんですよね?

「まぁまぁ、良いじゃない。彼にとっては、奥さんが戻ってこない限り、事件は終わってないんだよ。一刻も早く、迎えに行かせてあげよう」

と、大人の貫禄を見せるアイズ。

さすがである。

「よっしゃ!皆無事に尻尾巻いて帰ってきたことだし、ポテパしようぜ!」

アリューシャが、何やら意気込んでそう言った。

「何だよ、ポテパって…」

「ルル公知らねぇのか?全く世間知らずだなー」

「お前にだけは言われたくないんだが?」

まぁまぁ。

俺は何となく、語感で分かった。

「ポテパっつったら、ポテチパーティだろ!皆戻ってきたら、皆でポテチパーティしようと思って、アリューシャ、ポテチ箱買いしたからな!ばっちりアイ公にポチってもらったぜ!」

ドヤ顔。

「おぉ、祝宴か。良いな。散々『帝国の光』で質素倹約させられたから、俺もそろそろ派手なことをしたいと思っていたところだ。よし、ルルシー先輩」

「…何だよ」

「折角だから、久々に手料理を持ち寄って祝宴を開こう。俺はミートローフを作るから、ルルシー先輩はいつものチキンサルサを頼む」

「は?」

「じゃあっ…私、久し振りにフライドポテト作るわ!あとポテトサラダも!」

シュノさんも、すっかり泣き止んで、やる気満々である。

良かった良かった。

なら、俺も一肌脱ぐとしよう。

「なら、俺はハーレム会員に、ゴスロリ印の三段ケーキ作らせますね!」

盛り上がること間違いなしだ。

「いや、ちょっとお前ら、何を勝手に決め、」

ルルシーが、何やら抗弁しようとしていたが。

きっと久々の祝宴が楽しみで、待ち切れないんだろう。そうに違いない。

「それなら、私は上等なワインを調達してこようかな」

「アイ公、アリューシャワイン飲めん」

「大丈夫だよ、アリューシャには、美味しいぶどうジュース用意してあげるからね」

「やったぜ!」

これで、皆で楽しめるな。

やっと、俺達の平穏な日常が帰ってくる…。

と、思ったが。

「いやいや、ちょっと待てってお前ら」

「何ですか?ルルシー」

何か、気になることでも?

「大丈夫ですよ。夜までには完成させるよう、ちゃんと言いつけときますから」

「ケーキのことじゃねぇ。真面目な話だ」

ケーキの話だって、真面目だよなぁ?

「ヒイラ・ディートハットは?『帝国の光』の党首は、何処に行ったんだ?」

…あぁ、そういう話ね。

もう忘れかけてたよ。昔のこと過ぎて。
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