The previous night of the world revolution~T.D.~
そこには、阿鼻叫喚と化した『帝国の光』本部ビルが映し出されていた。

画面の下部に、でかでかとテロップが出されていた。

「帝国騎士団、『帝国の光』本部に突入」。

更に画面上部には赤文字で、「『帝国の光』、違法武器を所持の疑い」とテロップ。

画面の中では、特徴的な『帝国の光』の制服を着た党員達が、次々と手錠をかけられ。

項垂れた様子で、連行されていく様が映し出されていた。

これを見て、『ルティス帝国を考える会』の会員達は、信じられない様子だった。

「そんな、まさか…。『帝国の光』が…」

「いや、こんなの有り得ないでしょ!」

「エリアス…エリアス君や、ルナニア君は無事なの…!?」

呆然と呟くエリミア会長。

ルナニア…ルレイア殿は無事だと、先程連絡が来た。

まぁ、あの人なら、戦場のど真ん中に放り込んでも、何事もなかったかのように生還しそうだが…。

一方のエリアスの方は…恐らく…。

「『帝国の光』が…逮捕されるなんて有り得ない!」

「そうですよ、武器の所有なんて嘘です。帝国騎士団のでっち上げに決まってます!」

…。

でっち上げ…ではないんだけどなぁ。

『帝国の光』を盲信している人にとっては、これも帝国騎士団による抑圧に見えるのだろうな。

でも。

「…火のないところに、煙は立ちませんよ」

俺は、静かにそう言った。

「…ルーカス君。君は『帝国の光』を信じないと言うの?この期に及んで、帝国騎士団を信じるの?」

「俺は、起きた事実を信じます。武器を所有していようがいまいが、彼らは今、司法の下で裁かれようとしている。それが事実です」

エリミア会長の批難の言葉に、俺はそう答えた。

つまり彼らは、捕まるようなことをしたということだ。

それが事実なのだ。

「『帝国の光』は偉大な組織だわ!逮捕されるようなことをするなんて…」

「なら、今報道されていることは何ですか?ネットニュースで散々噂にされていることは?」

「…それは」

ニュースは今、『帝国の光』一色だ。

曰く、彼らは違法な武器を所有しており。

対話と相互理解などと説きながら、その実は、暴力で革命を起こそうとしていた。

その為の資金を、党員や提携組織から搾り取っていた。

そもそも『帝国の光』は平等を謳いながら、党員は全員、党首のヒイラ・ディートハットによって、『表党』と『裏党』に分かれさせられ。

『表党』は宣伝用に、本命は『裏党』の党員だけで。

組織内で、『裏党』は『表党』を蔑み、『表党』の人々は、自分達が分けられていることすら知らなかった。

そして『裏党』の内部では、裏切り者に対して残酷な拷問にかけていることも。

こんなニュースが流れれば、誰だって『帝国の光』を疑うだろう。

今だって、『ルティス帝国を考える会』のメンバーも、必死に信じようとしているけれども。

「『帝国の光』が潔白なら、党首であるヒイラ・ディートハットが出てこないのは何でですか?」

「…」

俺の問いに、誰も答えられなかった。

ヒイラ・ディートハットは現在、行方を眩ませている。

彼は数名の党員と共に、帝国騎士団突入時に、秘密の抜け道から真っ先に逃亡したそうだ。

同志である、仲間達を捨てて。

「疚しいことがないなら、潔く出てきて釈明すれば良い。それなのに逃げるということは、バレたら不味いことがあるからでしょう」

…と、俺は平然と言っているが。

内心、ヒイラ・ディートハットの処遇については、かなり心配だったりするのだ。
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