The previous night of the world revolution~T.D.~
血飛沫が舞い、胴体から切り離された首が、驚愕に目を見開いたまま。

ゴトン、と床に落ちた。

遅れて、頭を失った胴体の方も床に倒れ、ベチャッ、と床に血溜まりを作った。

「な…な…」

あまりに一瞬の出来事で、あまりに唐突過ぎて。

小屋の中の誰もが、何事が起きたのか分からないらしい。

僕を除いて。

隙だらけだから、早速次。

両手にピンと張った、透明なワイヤーを光らせ。

続けざまに、二人目、三人目の首を切断した。

切断された「断面」から、噴水のように血飛沫が噴き出しているのを見て。

ようやく、これが現実であると気づいたらしい残りのターゲット二人は、生存本能のままに小屋から走り出そうとした。

それは遅いよ。

僕は、逃げ出そうとする残りのターゲットの一人を、あの世に送った。

生きていたかったなら、まずは僕に…いや。

『青薔薇連合会』に、目をつけられるべきではなかった。

「…自分から藪をつついておきながら、蛇が出てきたら逃げるなんて、君達は何がしたいの?」

自殺願望でもあるのだろうか。

「ひっ…」

さて、残るは一人だけ。

主犯であり、メインディッシュでもある、ヒイラ・ディートハットだけ。

スッ、と彼の方を向くと。

情けない『帝国の光』の党首は、腰を抜かして尻餅をついた。

そうだね。

もう、逃げ場、ないもんね。

君が行くべき場所は、一つだけ。

「…あの世で、君の仲間が待ってるよ」

「…っ!な、何で…。どうして…お、お前みたいな子供が…」

知らないのか?

最近の子供は、人を殺すんだよ。

「どう…どうして…こんなことに…」

それが遺言か?

つまらない台詞だ。馬鹿でも言える。

馬鹿だからこそ、そんな遺言しか出てこないのかもしれない。

「ま、待ってくれ。投降する!自首する!だから、命だけは、命だけは助けてくれ!」

ますます、つまらない遺言が出てきた。

「…無理なんだよ」

僕は、血と脂の滴るワイヤーを、両手でピンと張った。

「『光の灯台』…っていうのが何なのか、僕は知らないけど…。それについて知ってる人は、生かしておいちゃいけないらしいよ」

って、上司が言ってた。

死人に口なし、ってことだ。

だから、残念だったね。

「…さよなら」

「っ、ま、まだだ!」

「!」

僕が動き出そうとした瞬間、ヒイラが拳銃の引き金を引いた。
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