The previous night of the world revolution~T.D.~
「どうですか?乗り心地は」

「んー、結構音がうるさい!」

プロペラ回ってますからね。

これでも『青薔薇連合会』の最新機だから、だいぶ改善されてるんだけど。

「でも楽しい!」

それは良かった。

「あとね、ルーチェス君にまた会えて嬉しい!」

「僕も嬉しいですよ。セカイさんにまた会えて」

師匠が、先に嫁(ルルシーさん)に合流して。

羨ましかったもんなぁ。僕も早く、嫁に会いたかったよ。

「ルーチェス君は、本当に王子様だね」

うん?

「元ですよ、元」

「今もだよ。私の王子様!」

セカイさんの?

じゃあセカイさんは、王太子妃ってことになるな。

そういう言い方は格式張ってて嫌なので、プリンセスと呼ぼう。

「いっつも私を、ちゃんと迎えに来てくれるね」

「プリンセスを迎えに行くのは、王子の役目ですからね」

「怪我しなかった?家に帰っても、もう危なくない?」

「怪我はしてないですね。危なくもないです」

そもそも、『帝国の光』の連中は、何の訓練も受けてない一般人だからな。

持ってる武器も粗悪品で、全然歯応えがなかった。

「セカイさんこそ、箱庭帝国どうでした?不自由しませんでした?」

めちゃくちゃ不自由で窮屈で死にそうだった、とか言われたら。

ちょっとヘリ引き返して、ルアリスに水かけてこよう。

「うん。良くしてくれたよ」

良かったですねルアリスさん。水かけられずに済んで。

「観光地綺麗だったし、ご飯も美味しかったよ。ルーチェス君のご飯ほどではないけど」

「そうですか。まぁセカイさんの手料理に比べたら、全世界のどの料理でも美味しく感じ、いたたたたた今操縦中なんですけど」

「あら〜?そんな悪いこと言う弟君のお耳はここかな〜?」

耳引っ張らないでください。

千切れるかと思った。

「でもね、そんな箱庭帝国の中でも、一個不満だったことがある」

「ほう、何ですか?」

「ルーチェス君いなくて、寂しかった」

「…」

…成程。

「僕も、怪我はしなかったし危なくも…」

…いや、結構危険な綱渡りはしてましたけども…。

結果オーライ。

「…なかったですけど、セカイさんに会えなくて死ぬかと思いました」

「私も〜!ウサギだね!寂しくて死ぬの!私達ウサギ夫婦だ!」

僕人間ですけど。

それに。

「あれガセネタですよ。ウサギは縄張り意識が強いので、むしろ多頭飼いすると喧嘩が絶えない生き物です」

「え、そうなの?」

「本当に寂しくて死ぬのはタコだって噂なので、僕達タコですね。タコ夫婦です」

「えぇ〜!!なんかやだ〜!」

じゃ、人間に戻るとしましょうか。
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