The previous night of the world revolution~T.D.~
「お前な…。俺は真面目に言ってるんだぞ」

「分かってますって…」

その怒った顔も素敵だけど。

あまり怒らせると、嫌われてしまう。

程々にすべきだな。

「今回も心配してくれてたんでしょう?分かってますよ」

「いいや、お前は分かってない」

え。

「今回は、アイズが決めた手前、黙ってたが…」

「俺に、危険な場所に行って欲しくないんでしょう?」

「違う。やっぱり分かってないな、俺はお前を『一人で』行かせたくないんだ。何処に行くにしても」

あぁ…はい。

そうでしたね。

「危険な場所に行くなとはもう言わねぇよ。お前は、存在そのものが危険を呼び込むトラブルメーカーだからな。藪を見つけたら、蛇が出てくるまでつつきまくる奴だってことは、よーく分かってる」

酷い言われよう。

「それどころか、蛇がいようといまいと、藪の中にダイブするだろ、お前は」

「…俺、ルルシーに何だと思われてるんですか…?」

そんな風に思われているとは、物凄く心外なのだが?

俺ほど大人しい大人は、ルティス帝国広しと言えど、なかなか見つからないと思っているんだけど。

「だから、もう危険なことをするなとは言わない」

「…」

「でも、一人では行くな。何処に行っても良いから、その隣に俺を置いておけ」

「…俺もそうしたかったけど、でも今回は仕方ないじゃないですか」

「…」

今回の任務は、隠密行動が基本。

身分を隠さなきゃならない以上、ルルシーと一緒にはいられなかった。

俺だって、一緒にいられるものならいたかったよ。

何が嬉しくて、あんなルーシッドなんかと同居なんて。

もう二度としたくないね。

「…分かってるよ。だから、愚痴ってるんだろ」

成程。

「ルルシーだって、たまには愚痴りたくなるときもありますよね〜」

「あぁ…。お前みたいな相棒を持つと、特にな…」

うん、今のは聞こえなかったということで。

今日はお耳が遠いなぁ〜。

「…物凄く、心配したんだからな」

「…えぇ、知ってます」

「…無事に帰ってきてくれて、良かった」

「…はい。無事に帰ってきました」

そして今、こうして。

またルルシーの隣で、一緒にいますよ。
< 803 / 820 >

この作品をシェア

pagetop