The previous night of the world revolution~T.D.~
結果。

「ふん!ふん!ふーん!!」

「…」

「ちっとも動かな〜い!何で!?」

案の定。

いざ尋常に勝負、と腕相撲を始めたは良いものの。

セカイさんは、僕の片手をピクリとも動かすことは出来ていなかった。

何ならルールを無視して、セカイさんは両手を使って、僕の片手を掴むようにして、反対方向に倒そうとしていたが。

それでもピクリとも動かない。

ちなみに、僕は大して力を入れてない。

僕がひょいっと力を入れれば、セカイの片手、どころか両手は、テーブルにめり込んでしまうだろうから。

あくまで抵抗せず、ただ倒されないように垂直を保っている。

スタート!と言った瞬間から全く変化のない、素晴らしい90度を維持している。

動かざること山の如し。

「ふーんっ!」

セカイさんは、ルール完全無視で、立ち上がって僕の腕を掴み、全力で引っ張っていたが。

それでもカブは抜けません。

「何で!?何で動かないの!?」

「自慢ですけど、僕握力90くらいあるので」

「すごっ!?りんごどころか、パイナップル潰せるんじゃない!?」

トゲ刺さりそうなので嫌です。

あと、師匠はもっとあると思いますよ。

さすがだなぁ。憧れます。

「ぐぬぬ〜っ!倒れろっ、倒れろっ、ふんっ!へぁっ」

「あ」

あまりに力を入れ過ぎたせいか。

僕の片手を掴んでいた手が滑り、すっぽ抜けてしまったセカイさんは。

その勢いのまま、床にバタンキュー。

…。

…ちーん。

「大丈夫ですか?」

「はぁ…はぁ…。な、なかなかやるじゃない…」

そして、苦し紛れのこの発言。

「でも、私はまだ負けてないから!」

そうなんですか。

確かに、セカイさんは僕の手をピクリとも動かせていなかったけど。

かと言って僕も、セカイさんの手の甲をテーブルに押し付けた訳でもない。

所謂、引き分け?

いや、めちゃくちゃルール違反してたから、多分セカイさんの負けだと思うけど。

「次は何するんですか?」

ここまで実力差を見せられて、まさか腕相撲二回戦はないだろう。

と、思っていたら。

「プロレス勝負!」

腕相撲より、もっとデンジャラスな感じのルールが来ましたね。

僕はどんな勝負でも、喜んで受けて立ちますが。

セカイさんの方は、大丈夫なんだろうか?
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