The previous night of the world revolution~T.D.~
しかし。

そんな夢色タイムは、長くは続かなかった。

「降参〜っ!降参するよ〜っ!」

「…ちっ…」

「何で残念そうなの!?えっち!」

あと30分は粘って欲しかった。

堪え性ないんだから、全く。

仕方ない。降伏条約に調印された以上、僕は離れるしかな、

「…と、見せかけて奇襲っ!」

「ん?」

ホールドを解くなり、セカイさんがくるりとこちらを向き。

突進をかましてきたので、とりあえず防衛本能でひょいっと身を避けると。

セカイさん、顔から壁に激突。

「ぷぎゃっ!」

「…」

「…へにゃふにゃほぇ〜…」

へなへなへな、と床に崩れ落ち。

「…」

…沈黙。

「…頭、大丈夫ですか?」

「…それは、怪我してないかってこと?それとも…中身が…ってこと?」

「どちらかと言うと、後者ですね」

「うわぁぁぁん!弟君がお姉ちゃんをいじめる〜っ!」

済みません。いじめたつもりはないんですが。

あまりに奇々怪々な行動を起こすので、ちょっと大丈夫か心配になってしまって。

しかも。

「鼻血出てるじゃないですか…。大丈夫ですか?」

ティッシュペーパーをまるめて、鼻血を垂らすセカイさんの顔に当てる。

さっき壁に激突したから、そのせいだろうな。

「ふぇぇぇ…」

「一体どうしたんですか、さっきから…。頭がおかしくなったなら、良い病院紹介しますよ?」

心の病気は、家族の手厚い支援と理解が重要。

もしセカイお姉ちゃんの頭がおかしくなったなら、僕も全力でサポートするつもりである。

「別におかしくなってないもん!」

「大丈夫、大抵の患者は、最初は病識がないものです。こういうときこそ、周囲の人間のサポートが、」

「本当におかしくなってないんだってば!これには、ふか〜い理由があるの!」

…深い理由?

何だろう。
< 814 / 820 >

この作品をシェア

pagetop