The previous night of the world revolution~T.D.~
とりあえず。

セカイお姉ちゃんが、「自分はおかしくない」と主張するので。

まずはカウンセリングの基本、共感と傾聴の姿勢を持って、彼女の話を聞くことにした。

何事も、まずは話し合いから。

この話し合いで駄目なら、やはり良い病院に連れて行こう。

大丈夫、最近は良い薬もあるし、きっと治るはずだ。

「…ルーチェス君が、凄い勘違いをしてる気がする…」

「大丈夫ですよセカイさん。何でも話してください。二人で治していきましょう」

「だからぁ!本当にそういうのじゃないんだって!」

「だって、セカイさんがいきなり、勝負だとかプロレスごっこだとか、それどころか、壁に向かって謎の突進までしてるし…」

「それはルーチェス君が避けるからでしよ!」

え、僕のせい?
 
そういえば以前も、帰ってきた瞬間に飛び蹴り食らわされかけたこと、あったっけな。

僕が避けただけで。

「全部理由があるの!ちゃんと!れっきとした!」

「はい、分かりました。聞きましょう」

「…笑わないで聞いてくれる?」

「…努力します」

「そこは、『大丈夫、笑ったりしないよ』でしょ!」

「だって、僕も人間ですし…」

面白いことがあったら、誰でも笑いますよ。

よし、分かった。

「なら、笑いたくなったら心の中で笑うので、遠慮なく言ってください」

「結局笑うんじゃない!悪い弟君だ!」

…僕も人間ですし。

「で、何ですか?」

「…もー…。ルーチェス君の馬鹿…」

何故?

「…今回のさ、『帝国の光』とかいう一件で」

と、セカイさんは不満げな顔で喋り始めた。

今のところ、面白い要素はないですね。

「はい」

「私、すっごく足手まといだったでしょ?」

「…はい?」

「よく考えたら私、全然、自分の身も自分で守れないし。守ってもらうばかりで、ルーチェス君に迷惑かけてばっかりだし…」

「…」

「だから私、一大決心をしたの。私もルーチェス君みたいに強くなって、むしろルーチェス君を守ってあげられる奥さんになろう!って」

…成程。

「…ふふっ」

済みません、ちょっと笑っちゃいました。
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