The previous night of the world revolution~T.D.~
「一年生の皆にも、知っておいて欲しいんだけど。このサークルでは、学年や年齢は関係ない。性別も学部も関係なし。皆が平等で、皆に発言権があるんだよ」

説明口調で、エリミア会長が言った。

「言いたいことは何でも言って良い。お互いが、お互いの意見を尊重する。それが例え、自分の意見と違ったとしても。皆で、その意見が評価されるべきなのか否かを考える。それがここの原則。覚えておいて」

「は、はい…」

その原則とやらを俺達押し付けるのは、強制なんだな。

まぁ、そんな揚げ足取りはともかく。

「それじゃ、今日の議題を考えましょうか。誰か、案のある人はいる?」

…今日の議題?

すると。

先輩の一人が、挙手した。

「今日は、新しく一年生も入ってきたことだし、初心に帰って、皆どうやったらルティス帝国をよりよく出来るかについて、話し合うのはどうですか?」

「うん!良い案だね。皆はどう?」

エリミア会長が、メンバーに問い掛ける。

異論のある者はいない。

「よし、それじゃ今日は、どうやったらルティス帝国をもっと良く出来るかについて、皆で話し合おう。一年生の皆、君達も積極的に意見を出してね。全然遠慮なんてしないで良いから」

「は、はい」

緊張気味に答えるエリアス、以下一年生達。

勿論その一年生の中には、ルーシッドも混じっている。

ルーシッドにとっては、厳しい場面だろうな。

ここで積極的に発言すれば、彼が共産主義的思想に染まってないことが、サークルメンバー達にバレてしまう。

しかし、スパイ活動の一環として。

彼には、ちゃんと役割を果たしてもらわなくては困る。

そして、俺も。

会長が、俺達一年生の発言を促してくれたのは、僥倖だ。

お陰で俺達がどんな「思想」を持っているかを、上級生達に教えることが出来る。

まぁ、上級生達も、そのつもりで…俺達新入生の「思想」を確かめるつもりで…発言を促そうとしているのかもしれないが。

少なくとも、発言を許されないよりはマシだと思おう。
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