The previous night of the world revolution~T.D.~
「貧民街に生まれて、両親から虐待を受けて捨てられ…。孤児になったその人は、孤児院に行ったけど、その孤児院も経営状況が悪くて、しかもその孤児院の職員に暴行されて…」
言うまでもないことだと思うが。
これは、実際起きた出来事である。
…ルルシーの身に起きた、出来事。
名前を出していないとはいえ、彼に許可なくこんな話をするのは、申し訳ないと思っている。
だが、嘘を付くには、少しばかりの真実を混ぜる方が、より信憑生が増す。
故に、性別と名前は言わずに、ぼやかして説明した。
それでも俺の心の中には、そこで苦しんだルルシーの姿が浮かんで。
演技でなくても、辛い表情にもなるというものだ。
「結局その人は孤児院を抜け出して、逃げていたところを親切な人に拾われ、帝都で教育を受けて、今は普通に暮らしているそうですが…」
「そう…そんな悲惨なことが…」
これでも、本当に悲惨なことは省いて説明したんだぞ。
暴行した孤児院の職員を殺して、孤児院を抜け出したことも。
更にはその後、売春宿で身を売っていたことも、彼らには言わなかった。
これらのことは多分、ルルシーの過去の一番…触れられたくないところだろうから。
だから、言わなかった。
それでも、ぬくぬくと育った自称エリート学生達には、効果覿面だったようで。
「そうね…。貧民街では、私達が想像も出来ないようなことが起きているわ」
「それなのに、一方では食べ物を粗末にし、金に物を言わせて贅沢三昧している人もいる。信じられないよ」
それを言うなら、お前らもなのでは?
更に。
貧しい人々の、生活の悲惨さを嘆いた後は。
「そうだよ。特に貴族と…それに、何よりベルガモット王家。彼らが、貧しい人々に何もせず、現実から目を背けているのが原因だ」
今度は、富める人々の生活を、批判する気になったらしい。
「ルティス帝国をより良くする為には、やはり彼らが変わらなきゃならない。ルティス帝国にある財産は、彼らだけのものじゃない。貧しい人々の為にもあるものなんだから」
「私も同意見です。貴族達は、自分達の富と権力を守りたいが為に、貧しい人々から目を逸らして、私腹を肥やしています」
「許せないよな」
「そうだよ、それに、このルティス帝国の現状を知っていながら、何もしようとしない帝国騎士団も」
お。
今度は、帝国騎士団批判に変わったぞ。
現役帝国騎士団隊長のルーシッドは、どんな反応をするだろうか?
言うまでもないことだと思うが。
これは、実際起きた出来事である。
…ルルシーの身に起きた、出来事。
名前を出していないとはいえ、彼に許可なくこんな話をするのは、申し訳ないと思っている。
だが、嘘を付くには、少しばかりの真実を混ぜる方が、より信憑生が増す。
故に、性別と名前は言わずに、ぼやかして説明した。
それでも俺の心の中には、そこで苦しんだルルシーの姿が浮かんで。
演技でなくても、辛い表情にもなるというものだ。
「結局その人は孤児院を抜け出して、逃げていたところを親切な人に拾われ、帝都で教育を受けて、今は普通に暮らしているそうですが…」
「そう…そんな悲惨なことが…」
これでも、本当に悲惨なことは省いて説明したんだぞ。
暴行した孤児院の職員を殺して、孤児院を抜け出したことも。
更にはその後、売春宿で身を売っていたことも、彼らには言わなかった。
これらのことは多分、ルルシーの過去の一番…触れられたくないところだろうから。
だから、言わなかった。
それでも、ぬくぬくと育った自称エリート学生達には、効果覿面だったようで。
「そうね…。貧民街では、私達が想像も出来ないようなことが起きているわ」
「それなのに、一方では食べ物を粗末にし、金に物を言わせて贅沢三昧している人もいる。信じられないよ」
それを言うなら、お前らもなのでは?
更に。
貧しい人々の、生活の悲惨さを嘆いた後は。
「そうだよ。特に貴族と…それに、何よりベルガモット王家。彼らが、貧しい人々に何もせず、現実から目を背けているのが原因だ」
今度は、富める人々の生活を、批判する気になったらしい。
「ルティス帝国をより良くする為には、やはり彼らが変わらなきゃならない。ルティス帝国にある財産は、彼らだけのものじゃない。貧しい人々の為にもあるものなんだから」
「私も同意見です。貴族達は、自分達の富と権力を守りたいが為に、貧しい人々から目を逸らして、私腹を肥やしています」
「許せないよな」
「そうだよ、それに、このルティス帝国の現状を知っていながら、何もしようとしない帝国騎士団も」
お。
今度は、帝国騎士団批判に変わったぞ。
現役帝国騎士団隊長のルーシッドは、どんな反応をするだろうか?