The previous night of the world revolution~T.D.~
帝国騎士団の名前を出した途端。

会員達は、今度は矛先を帝国騎士団に向け。

散々に罵倒し始めた。

「国を守る為なんて言いながら、奴らが守ってるのは自分達の地位だけだ」

「そうだよ。力のない、罪のない弱い人々の意見は、聞こうともしない。奴らが聞くのは、お偉い貴族の意見だけだ」

「実際、女王の言いなりだもんな。都合良く解釈してるだけで、『天の光教』のときだって、自分達の政敵になるから、口実をつけて潰しただけだろ?」

「そうですね。僕もそう思います。教祖であるルチカ・ブランシェットを投獄することで『天の光教』を黙らせて、結局は自分達を守っただけだ」

『天の光教』の事件のとき。

あの建物で、本当は何が行われていたのか。

ここにいる奴らに言ってやったら、何て反応するのかなぁ。

まさか、あの『天の光教』がマフィアと手を組み。

帝国騎士団もろとも自爆テロを起こして、地獄に道連れにしようとしていた、なんて。

言ったところで、多分信じないだろうけど…。現実味がなさ過ぎて。

などと思っていると。

ずっと沈黙を守っていた、ルーシッドが。

この話題が来るのを待っていた、とばかりに。

いや…恐らくは、もう耐えられなくなったのだろう。

ようやく、口を開いた。

「…俺は、そんなに帝国騎士団が悪いとは思いません」

ハッキリと。

彼は、この場にいる全員を敵に回すような発言をした。

ルーシッドの言葉を聞いて、『考える会』のメンバー達は、目を見開いてルーシッドを見つめた。

…やはり、そういう反応になるか。

予想していた通りだ。

『ルティス帝国を考える会』と言いながら、このサークルの内情は。

単なる、王侯貴族制度と資本主義体制に反対する、共産主義者の集団なのだ。

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