The previous night of the world revolution~T.D.~
「さて、今日は疲れたでしょうルーシッド」

「はい?」

「疲れを癒やすには性欲発散が一番。デリヘル呼んであげますよ、俺の奢りで」

「はい!?」

これも、先輩の粋な計らいってね。

俺は、お仕事用スマートフォンを取り出した。

ここには、俺の経営する「ほどほどえっち」なお店の、嬢達の携帯番号一覧が載っている。

「さて、ルーシッドはどれが好みですかね。やっぱり童貞には、テクニックより見た目重視の方が好きですか?あ、デカパイ派とかちっぱい派とか、こだわりあります?」

「ない!ないです!」

「じゃあ俺のおすすめを二、三匹ほど…」

「いや、そういうことではなくて!」

「何ですか。さっきから我儘…あっ」

「あ?」

成程、そういうことか。

うん、そういうこともあるな。

ルーチェスだって、そうだったじゃないか。

「分かりましたよ、ルーシッド。嬢を呼ぶのはやめときます」

「は、はぁ。分かってもらえたならよかっ、」

「あなたは男色なんですね。大丈夫、そういう店も、少数ながら持ってますから。そこの男を呼び、」

「な、何も分かってないじゃないですかっ!!違いますよ!」

は?

「…ちょっと、何言ってるんですかあなた…意味分かんないんですけど?」

「あなたが何言ってるんですか…?」

あまりにも女を拒否するから、男が良いのかと思ったら。

今度は男も拒否する。何なんだこいつ。

性別何?

「…まぁ、それじゃあ女と男を一人ずつ呼ぶんで、適当に遊んでください」

「えぇぇぇぇ!!」

「これを機に、両刀使いを目指すのも悪くないですよ。俺の弟子なんか、これはもう見事な両刀使いで、いや両剣使いなんですけどね?」

「い、いやそんなことは聞いてないです。どちらも要らない、あの、要らないんで俺。大丈夫ですから」

武器は両剣、性癖も両刀使いとは、さすが俺の弟子。

自慢の弟子だよ。

「やっぱり世の中、性別は二つあるんだから、どちらも楽しまないと損というもの…」

「だ、駄目だ話が通じない。そ、そうだ。ルルシー殿、こんなときこそルルシー殿に…」

ん?ルルシー?

ルーシッドが、何やらスマートフォンに齧りついて、何事か、誰かに電話したかと思うと。

数分後。

今度は、俺のプライベート用携帯が鳴り始めた。

その相手は、勿論。

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