従者は永遠(とわ)の誓いを立てる
 昨夜の夢は長かった、と目覚めてからグレイスは思った。
 子供の頃の夢。たまに見ることはあったけれど、物心ついたばかりの頃から、少女になって間もない頃のことまで。一晩で見るとは奇妙なことだ。
 でも、懐かしかった。
 それに嬉しかった。
 夢の中であってもフレンに出逢えたことが。
 まだ少年だったフレンの夢を見たのは、ただの『逢いたい』という願望だったのかもしれなかったけれど、とても幸せな夢だった。
 ずっと傍にいてくれた。
 誓ってくれた。

『わたくしは、いつでもお嬢様のお傍に』

 あの言葉。
 今では、離れてしまった今では、違えてしまっているのかもしれない。
 けれどグレイスは、そんなことはないのではないか、とここしばらく思うようになっていたのだった。心の安定が前向きに捉えさせてくれるようになっていたのかもしれない。
 再会できるかはわからない。いくらレイアが「任せてほしい」と言ってくれたとはいえ、保証もない。
 でもグレイスは落ちついていた。
 フレンは嘘をつくようなひとではないから。
 それはもう、出逢ってからずっとそうだった。
 グレイスに対して真摯で、真っ直ぐで、とても優しくて、そしていつも手を伸べてくれるひと。
 だからあの言葉。嘘になんてならない。
 夢の中のフレンからそう伝えられた気がした。
 グレイスは良い気持ちでベッドから出て、カーテンを開けた。
 さぁっと陽の光が差し込んでくる。もう秋も深まって少々寒いのだけど、まだ陽は明るい頃だ。朝日ならば尚更。
 グレイスは目を細めた。レイアの言ってくれた通り、なにもかも上手くいく、気持ちになれたのである。
< 136 / 155 >

この作品をシェア

pagetop