劇薬博士の溺愛処方
ふふふ、と微笑みながら会計を済ませた三葉は、薬瓶にシールを貼り付け飛鷹へ渡す。
「飲ませてくれないの?」
「え、こちらで飲んでいかれるのですか?」
「だって大倉は毎週金曜日にここでエネルギーチャージして君と仲良くしてるんでしょう?」
「っ!」
カァっと頬を赤らめ睨み付ける三葉に、図星かー、と飛鷹はニヤニヤ下卑た笑みを浮かべ、プシッッと薬瓶の蓋を開ける。
薬草独特の甘ったるい香りに顔をしかめながら、息を止めた状態でイッキ飲みする飛鷹を見て、三葉は苦笑する。
「そ、そんなに一気に飲まなくても」
「いいんだよ疲れているのは事実なんだから。これって二日酔いにも効く?」
「効きませんよ二日酔い予防薬じゃあるまいし……」
「なーんだ。一緒に摂取できればいいのになぁ」
飛鷹が飲んだのはあくまでも滋養強壮に効果がある精力剤で、肝臓の動きをカバーする二日酔い予防薬ではない。だが、ときどき宴会前の客がジョークの一環として二日酔い予防薬だけでなく精力剤を買い込んでいく、というのはこの店ではよくある話だ。
「……よし決めた! 今度新宿で飲み会あるときはこっちで薬買いに行くよ」