劇薬博士の溺愛処方
「僕の専門、いちおう泌尿器でしょー? 早漏に関する相談もまぁ許容範囲なんだけど……とあるヘルスケア会社の調査によると、日本人男性の約四人に一人が早漏に悩んでいる、なんてデータもあるからねぇ。とはいえ大倉の場合、身体的なことよりも精神的な要因が強そうだ……」
「つまりわたしが悪いと」
「そうは言ってないよまだ」
からから笑う飛鷹は憂鬱そうな三葉の横顔を見つめ、口調を改める。
「だけど、生身の三葉ちゃんにしか勃起しないとか、三葉ちゃんを抱いたら我慢できないとか、思春期の男子中高生じゃあるまいし、もうすこし三葉ちゃんの前でも自分をセーブした方がいいと思うんだよね……仕事場ではちゃんとしてるんだし」
「そのとおりです!」
――ああよかった、このひと常識人だ!
思わずうんうん頷いて、三葉は話のつづきを促す。
「そこで、だ。早漏に悩む大倉に自慰をすすめてくれないか?」
自慰。
オナニーとかマスターベーションとか、色々と呼び名は存在するが、恋人に自慰をオススメしろ、という飛鷹の言葉に、三葉の表情が無に返る。
「……い、いま、何と」