劇薬博士の溺愛処方

「自慰行為はやりすぎると禿げるとか言うでしょ? 真相は定かじゃないけど、射精を繰り返すことで男性ホルモン内のひとつであるテストステロンの濃度を下げることにつながるのは事実なんだ。テストステロンの濃度が薄くなる、って言っても説明しづらいな……」

「あ、賢者の時間ですか」

「そう。男性の身体は射精するとテストステロンの分泌が抑制されるようにできている。しばらく時間が経過すれば分泌量は回復するが、それでも射精を繰り返せばテストステロンの濃度が薄まり、相対的に悪玉男性ホルモンが増えるというわけ。あいつはそれを知ってか知らぬか、基本的にひとりで自慰をしていないらしい……まだまだやりたい盛りのくせに、生命を縮めたくないとか老人のようなことを言ってたよ」
「はあ」

 男には男の事情があるのだと溜め息をつきながら、飛鷹はビールが入ったジョッキを受け取り、にやりと笑う。

「それに、オナ禁後のセックスは極上の快楽が得られるなんて言うし。大倉がそこまで学術的に理解して自慰を行っていないのか、それとも三葉ちゃんに操を立ててるのか……こればっかりは僕もわからないけど」
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