劇薬博士の溺愛処方
三葉のその言葉に琉はぱあっと表情を明るくし、ガバッとその場でタオルケットの上から抱きつく。
その瞬間、三葉の意識はよりはっきりとしたものに変わり、羞恥で顔を赤らめる。
「よ、よかったよかったよかった……!」
「せ、先生ちょ、ちょっと……っ!」
病室のベッドに横たわった状態の三葉を上掛けごと抱き締めた琉は、彼女がぶつけたという後頭部に手を伸ばし、よしよしと撫で上げていく。
「事情は飛鷹のバカからぜんぶ訊いたよ。あんな奴と酒を飲むからこんな目にあうんだ。まあ、あいつも飲み過ぎたってトイレにこもって反省しているけど……」
トイレにこもって、というところでああやっぱり彼は飲みすぎて気持ち悪くなったんだと理解した三葉は、患部をこれでもかと撫でつづける琉に噛みつくように言い返す。
「う、浮気じゃないからね!」
「わかってる。そういうことにしておいてあげる」
優しい口調とは裏腹に、彼の表情からは何も読めない。ここで飛鷹とは何もないと三葉が必死になって弁解したら、逆に火に油を注いでしまいそうだ。
「――けど、俺が嫉妬していないと思う?」
「……っ」