劇薬博士の溺愛処方
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「あ、三葉ちゃん、大丈夫だった!?」
「飛鷹先生こそ」
「ごめんね、僕がお酒飲みすぎたばっかりにとばっちり食らっちゃって……」
夜間外来の当直をしていた琉から連絡を受けた病棟の担当医師によって念のためMRIを撮った三葉だったが、診断結果は問題なしだった。
薬を処方されることもなく、薄暗い窓口でふだんよりも割高な会計を終えたところで、三葉はトイレから出てきた飛鷹とふたたび顔を合わせることになった。
「大丈夫です。軽い脳震盪だって」
「そっか……」
たんこぶができただけだから問題ないと三葉が口にすれば、飛鷹も安堵した表情になり、夜道は危ないから途中まで送っていくよと申し出てくれた。
「久々に可愛い女の子とお酒飲んだから気が大きくなっちゃって……大倉先生の恋人じゃなきゃ本気で口説いちゃうところだったよ」
「またまたお上手なんですからー」
「……まあね」
トイレですっきりしてきたのだろう、すっかりお酒の抜けた飛鷹は、病院の外へ出てから三葉の隣をとぼとぼと歩いている。たぶん、琉にこってり絞られたのだろう、言葉数も少なく、さっきまでとは別人のようだ。
「あの、飛鷹先生」