劇薬博士の溺愛処方
「――なんだい?」
「さっきの、話」
居酒屋で話していた早漏を治療するための行動療法について確認を取るように訊ねれば、彼が淋しそうな笑顔を見せて首を振る。
「ああ、大倉先生にぜんぶ話したよ。だから三葉ちゃんが心配することはもうないよ」
「え」
「あいつ、カッコつけてたぞ。恋人のためなら、自慰も辞さないって……」
オナ禁していたくせに、三葉ちゃんの早漏発言がどうしてもショックだったんだろうなー、と呟く飛鷹とホームで別れ、電車に乗る。
――恋人のためなら、自慰も辞さない、ってなにそれ。洒落にもなってないよ?
* * *
「自慰、か」
十二時前に帰宅した三葉は、ふぅ、と溜め息をついてからシャワーを浴びに浴室へ向かう。
ブラウスのボタンをひとつひとつ外し、ダークグレーのタイトスカートのチャックをおろし、下着姿になった三葉は、全身が映る鏡の前で、自分の体型を見つめ、すこし太ったかな、と苦笑を浮かべる。