劇薬博士の溺愛処方
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『飛鷹先生から事情は訊いたけど、今度の金曜日にもう一度確認するから、覚悟して』
三葉はこのメールを見てどう思っただろう。嫉妬深い? 自意識過剰? それとも……
* * *
当直明けの木曜日。
整形外科外来は休診のため、今日は午後から入院病棟のヘルプに入っている琉は、恋人へ送ったメールが正しかったのか、いまになって不安を覚えている。
琉が調剤部にいた三葉を口説き落とす姿は病院の多くのスタッフに目撃されていた。そのなかには当然のことながら、医大の同級生で職場の先輩でもある飛鷹の姿も含まれている。
琉と違い、当時の飛鷹は職場恋愛に消極的で、自分が調剤部の薬剤師に惚れた話をした時点で「面倒なことになるからやめておいたほうがいい」と忠告されたものだ。
とはいえ飛鷹に言われて素直に諦められる琉でもない。まずは話しかけて、彼女を知ることから始めなければ恋もできないと飛鷹を言いくるめ、距離を縮めて告白攻勢をかけた結果……面倒なことが実際に起きて彼女が転職するというすったもんだはあったものの、諦めきれなかった琉が追いかけて捕まえた結果、現在も彼女は自分の恋人として傍にいてくれている。