劇薬博士の溺愛処方
ところが、最近の彼女は琉が早漏気味だからか、いろいろ物足りないらしい。
身体を合わせれば相性は最高のはずなのに、気持ちが良いのは自分だけだと、そんな風に思われてしまったみたいで……琉はいたたまれなくなる。
昨晩居酒屋で酒を飲みながら一方的な人生相談に乗ったという飛鷹に話を吐かせたところ、早漏を治療するなら行動療法、それも相互観賞が効果的だ、とのアドバイスをしたという。
「――」
相互観賞。
言葉の通り、お互いのマスターベーションを観賞することである。
三葉は意味がわかっていなかったらしく、けしからんことに飛鷹がホテルに連れ込んで丁寧に説明してあげようと思ったところでトイレの時間が来て、あとは琉も知っている通りなぜか飛鷹を庇った三葉が脳震盪を起こして救急車でたまたま夜間外来の当直になっていた自分のもとに連れてこられるという摩訶不思議な状況に陥ったわけだ。
飛鷹のホテルに連れ込む、という言葉は酒が過ぎたがゆえの冗談だ、と理解していてももし彼女が飛鷹とともに新宿のラブホテルでいかがわしい行為を共にしていたらと考えたら腸が煮えくり返って仕方がない。