劇薬博士の溺愛処方
相変わらず彼女は他の客に対しても精力剤を平然と売り付けている。会計を終えてその場で瓶をイッキ飲みして店を出た男を横目に、琉は三葉の前へ立つ。
「いらっしゃいませ」
「この店に、オナホはある?」
小声で口を開いた琉の言葉を、三葉は目を丸くして受け入れた。
そして黙ったまま、埃が被っていた大人のオモチャの棚から、手のひらサイズの小箱を取りだし、くすりと笑う。
「こちらでよろしいでしょうか、お客様?」
「……説明して」
むすっとした表情で説明を促す琉に対し、三葉は素直に頷き、丁寧に説明をはじめる。
「――この、“BOUGA”って商品は、オナニーホールのなかでも気軽に使えるカップ型でポピュラーなタイプです。忘我ヘルスケアグループの看板商品として有名ですよね。この独特の軟質樹脂が陰茎を包んでくれるので膣と似たような感触が味わえます。ただ、衛生面の都合上一回限りの使い捨てなので何度も使いたい場合は洗浄しやすくて分解可能な貫通型の“忘れ女神の名器物語”もございます」