劇薬博士の溺愛処方

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 ふだんから三葉と琉が金曜日の夜を過ごすのは、歌舞伎町のホテル街の入り口を抜けてすぐに脇道に入ったところにある古くて小ぢんまりとしたラブホテルが多い。どっちにしろ目的は同じだが、大通りのネオンがギラギラで室内も若者向けのアクティビティが満載の新しいラブホテルよりも、昔ながらのAV放送が垂れ流しされているテレビと清潔なベッドがあるだけのシンプルな部屋の方が恋人の時間を安心して満喫できるからだ。
 けれどもそのふだん通り、という甘えにも似た行動が、ふたりのマンネリ化を招いているという現実に、三葉は気づいてしまった。

「きょ、今日はここにしませんか?」
「いいの? 三葉くんは派手なところ苦手だって」
「だ、だってヤることは同じじゃないですかっ」
「つまり、三葉くんも俺とエッチなことをするの、期待しているってわけだね」
「……え、えっと」
「ほんと可愛いな、俺の三葉は」

 季節は冬。クリスマスのネオンがあちこちで煌めく師走の街並みを楽しみながら、新宿西口から東口に出てきた三葉と琉は、ホテル街の入り口からさほど離れていない、新しくできたばかりのホテルの建物の前に立っていた。
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