劇薬博士の溺愛処方

* 2 * 性欲の減退はおクスリで




 三葉と琉は恋人同士だ。
 薬剤師として総合病院で働き始めた三葉に一目惚れしたのだと彼は言い、休憩時間を縫ってことあるごとに口説きに来たものだ。
 毎日のように薬局に現れ、三葉を口説く医学博士(ドクター)の姿は目立ちすぎていた。自分とは違う世界の人だし、まだ恋より仕事に夢中だった彼女は断ろうとしたものの、周りからの痛い視線に耐えきれなくなってお付き合いを受け入れた経緯がある。
 お付き合いに是と返してからも琉は毎日のように三葉のもとへ会いに来た。自分より年上のくせに子どもみたいにまとわりついてきたかと思えば、夜になると獣へと変貌する。
 彼の部屋で何度も身体を重ね、互いの温度を分かち合い、へろへろになりながら二人して翌日のシフトに入る、なんてこともざらにあった。

 彼に甘やかされながら過ごした日々に溺れつつあった三葉だったが、そんな彼女を職場の若い女性たちは羨み妬み、ついにはイジメの標的にしてしまう。
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