劇薬博士の溺愛処方
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「……バカだなあ、そう簡単に早漏が治るわけないだろ」
週明けの月曜日。
白衣姿でわざわざ報告してきた琉を前に、飛鷹は苦笑を浮かべ、慰めるようにぽんと肩を叩く。
だが、先週末のデートで互いの想いを確認しあえたからか、彼の表情は明るい。
「三葉にも言われた。オナニーカップを使った行動療法は自慰を週に二三回繰り返し行うことで自分の癖をつかむ必要があるから、早くても二か月から三か月くらいは様子を見ないと効果が得られない、って」
「――あぁ、BOUGA使ったのか」
「意外と気持ちいいものだな、あの容器」
ぼそりと呟く琉を見て笑いそうになったが、本人は真剣そのものだ。
いままで自分でオナニーすることすら懐疑的だった彼が、恋人のためにどうにかしようと努力しているのだ、笑うのは失礼だなと飛鷹は首を振り、同意する。
「悩んでいるのはお前だけじゃないんだから、そう気にするなよ」
「ああ。三葉にもそう言われたよ。早漏でも、一緒に気持ちよくなれるなら構わないって」
「あーはいはいごちそうさま」
あっさり一蹴する飛鷹を見て、琉は勝ち誇った笑みを返す。