劇薬博士の溺愛処方
 デートと言ってもファミレスでランチをしてから映画館で彼が見たがっていたアニメ映画を一緒に見て、百貨店の紳士服コーナーで彼が必要だと言っていたベルトやシャツの買い物に付き合って、という別にクリスマスでなくてもいい普通のデートだ。この日のためにとめかしこんで高級ホテルでディナーを予約する、なんて意識高い系の行動が苦手な三葉にとって、彼の提案はありがたかった。
 ただでさえ毎日仕事に忙しい琉と三葉にとって、普通のデートを行うのは至難の業だから。
 だからあえてクリスマスに、という彼からのお願いを素直に受け入れた三葉だったが、その「お願い」はひとつだけではなかった。

 ――もう、素直に普通のデートを楽しみたいって言っていたのに、次から次へと無理難題を吹っかけてくるんだもの……!
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